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ココロブルーに効く話II 小山文彦

医療・健康・介護のコラム

30代女性 疲れやストレスからくる「目の疲れ」「肩こり」「めまい」だと思ったら…脳腫瘍が隠れていた

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 総合病院精神科(ストレス外来など)での勤務が長かった私は、内科系や外科系の診療科と連携できる機会に多く恵まれてきました。頭痛を訴えて脳外科を受診した患者さんを、ストレス性として私が治療を担ったり、心因性の 動悸(どうき) に不整脈が混じっていた患者さんを、私から循環器内科に治療を依頼したりなど、ケースバイケースの協力体制で治療に当たってきました。

 患者さんの多様な症状には複雑な病態が潜んでいたり、一つの病気から複数の合併症が生じたりすることも少なくなく、診療科間の素早い連携と協働が求められます。今回は三つの診療科の連携によって、患者さんの脳腫瘍が見つかった例をご紹介します。

ストレス、過労からくる症状だが…

30代女性 疲れやストレスからくる「目の疲れ」「肩こり」「めまい」だと思ったら…脳腫瘍が隠れていた

 金融機関に勤務するタミコさん(36歳)は、以前から仕事中の目の疲れや肩こりを自覚していました。毎日、事務作業が長時間に及ぶため、自分の症状を「よくあること」と軽視してきましたが、半年ほど前から、症状にめまいが加わったために、自宅近くの耳鼻科医院を受診しました。検査の結果、明らかな異常所見は見つからなかったことから、「ストレスや過労からくる症状」と診断されて、当時、私が勤務していたストレス外来に紹介されました。

小山: 紹介状によると「めまい ストレス、過労が疑われる」とのことですが、現在の生活はどのような状態ですか?

タミコさん: 仕事がずっと忙しくて、睡眠不足と疲れがたまっている気がします。

小山: めまいの性質ですが、「目の前の景色が揺らぐ」イメージですか? それとも「目が回る」感じですか?

タミコさん: どちらかというと、ゆらゆらする感じです。頭の向きを動かした時など、特にそれを自覚します。

小山: 長い間、つらい目の疲れや肩こりもあったのですね。

タミコさん: はい。デスクワーク中心の毎日なので、仕事柄だとは思います。ただ今までは、「目の前がゆらゆらする」ようなことはありませんでした。

症状の出現時期のズレが

 ここまでの短い問診からは、肩や首の凝り(筋緊張)や過労と関連する「頭位変換性良性めまい症」が疑われます。一般的には、長時間同じ姿勢で作業することが多い職業の方に多く見られる症状であり、耳鼻科医院からの紹介状にもそう書かれていました。しかし、タミコさんの場合は、長年続く目の疲れや肩こりに対し、「揺らぐようなめまい」が現れたのは半年ほど前からとのことでした。症状の出現時期のズレが気になりました。

小山: 最近、「仕事に気力がわかない」「気持ちが落ち込む」などはありませんか。

タミコさん: 疲れている時は、何もかも面倒になることはありますが、休日には映画を見たりなどで気分転換をしていますし、決して 鬱々(うつうつ) としているわけではありません。

小山: やはり、疲労と筋緊張の影響が大きいようですが、毎日の睡眠はしっかり取れていますか?

タミコさん: よく眠れてはいます。ただ、今のように仕事が忙しい時期には5時間くらいしか寝られない日々が続く場合もありますが。

小山: 仕事で集中力が落ちたり、うっかりしたりするようなことはありませんか?

タミコさん: 常に気合を入れて取り組んではいますが……。最近、同僚から声をかけられても聞こえにくくて気づかなかったり、耳鳴りを感じたりすることもあります。やっぱり、疲れているんですかね(笑)。

小山: 疲れもあるかもしれませんが、耳鼻科医院からの紹介状には、聴覚異常が耳鳴りなどには触れられていません。最近のことですか?

タミコさん: はい。耳鼻科聴力検査では正常でしたし、耳鳴りを自覚したこともなかったように思います。

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小山 文彦(こやま・ふみひこ)

 東邦大学医療センター産業精神保健職場復帰支援センター長・教授。広島県出身。1991年、徳島大医学部卒。岡山大病院、独立行政法人労働者健康安全機構などを経て、2016年から現職。著書に「ココロブルーと脳ブルー 知っておきたい科学としてのメンタルヘルス」「精神科医の話の聴き方10のセオリー」などがある。19年にはシンガーソング・ライターとしてアルバム「Young At Heart!」を発表した。

 2024年3月、新曲「 きみに春がくる 」をテイチクエンタテインメントよりリリース。

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