文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

メディカルトリビューン

メディカルトリビューン

加齢に伴う徐波睡眠の減少は認知症リスク

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

 ノンレム睡眠の深い段階である徐波睡眠は加齢とともに減少するとされる。米・Boston University/Glenn Biggs Institute for Alzheimer’s&Neurodegenerative DiseasesのJayandra J.Himali氏らは、Framingham Heart Studyの参加者を対象に徐波睡眠の減少と認知症の発症との関連を検討。その結果、加齢に伴う徐波睡眠の減少は認知症の危険因子である可能性が示唆されたとJAMA Neurol( 2023年10月30日オンライン版 )に報告した。

2回目のPSGから17年間追跡、認知症発症リスクを調査

加齢に伴う徐波睡眠の減少は認知症リスク

(C)Adobe Stock ※画像はイメージです

 ノンレム睡眠は睡眠の深さにより4段階に区分され、そのうちの深い2段階を徐波睡眠という。徐波睡眠は脳に蓄積しアルツハイマー病への関与が指摘されるアミロイドβやタウ蛋白質の排出を促進し、脳の老化を抑制するとされる。しかし、徐波睡眠と認知症発症との関連については明らかでない。

 そこでHimali氏らは、加齢に伴い徐波睡眠が減少するか、徐波睡眠の減少が認知症発症と関連しているかを検討した。対象は、1948年から米・マサチューセッツ州で行われている大規模前向き疫学研究Framingham Heart Studyの参加者のうち、1995~98年と98~2001年に睡眠ポリグラフ(PSG)検査を受けた60歳以上の346例(平均年齢69歳、女性179例)。組み入れ基準は、2回目のPSG検査の時点で認知症がないこととした。

 使用したポータブルPSGには、脳波、眼球運動(眼電図)、心電図、顎の筋電図、酸素飽和度測定、インダクタンス式呼吸プレチスモグラフィー、鼻と口の気流測定が含まれた。睡眠段階はRechtshaffen&Kalesの基準に従い30秒ごとにスコアリングし、平均5.2年(範囲4.8~7.1年)の間隔で実施された2回のPSG検査における徐波睡眠の割合の変化を算出した。

 主要評価項目は、2回目のPSG検査後の追跡期間中における全認知症の新規発症とした。

徐波睡眠1%減少で認知症リスク27%増加

 解析の結果、加齢と徐波睡眠の減少には有意な関連が見られ、1年当たりの徐波睡眠減少率は平均-0.6±1.5%だった(P<0.001)。徐波睡眠減少率は60歳以降に加速して75~80歳でピークに達し、その後は緩やかになった。対照的に、レム睡眠の割合は加齢にかかわらず比較的安定していた。

 2回目のPSG検査から平均12±4年(最長17年)の追跡期間中に52例が認知症を発症した。年齢、性、コホート(第2世代コホート/少数民族コホート)、アルツハイマー病の遺伝的危険因子であるアポリポ蛋白(apo)Eの対立遺伝子ε4陽性、喫煙状況、睡眠薬、抗うつ薬、抗不安薬の使用を調整したCox回帰モデルによる解析の結果、徐波睡眠が1年当たり1%減少するごとに全認知症リスクは27%上昇し(ハザード比1.27、95%CI 1.06~1.54、P=0.01)、アルツハイマー病リスクは32%上昇した(同1.32、1.08~1.62、P=0.006)。

 加齢に伴う徐波睡眠の減少は、apoEε4陽性例で加速したが、認知症で萎縮が見られる海馬の体積(初回のPSG検査と同時期に測定)との関連はなかった。

 以上を踏まえ、Himali氏らは「徐波睡眠の割合は、加齢に伴い減少し、60歳以降およびapoEε4陽性により加速すること、徐波睡眠の減少は認知症の新規発症と関連することが示された」と結論している。(今手麻衣)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

medical-tribune-logo_02

メディカルトリビューン
メディカルトリビューン はこちら

メディカルトリビューンの一覧を見る

コメントを書く

※コメントは承認制で、リアルタイムでは掲載されません。

※個人情報は書き込まないでください。

必須(20字以内)
必須(20字以内)
必須 (800字以内)

編集方針について

投稿いただいたコメントは、編集スタッフが拝読したうえで掲載させていただきます。リアルタイムでは掲載されません。 掲載したコメントは読売新聞紙面をはじめ、読売新聞社が発行及び、許諾した印刷物、読売新聞オンライン、携帯電話サービスなどに複製・転載する場合があります。

コメントのタイトル・本文は編集スタッフの判断で修正したり、全部、または一部を非掲載とさせていただく場合もあります。

次のようなコメントは非掲載、または削除とさせていただきます。

  • ブログとの関係が認められない場合
  • 特定の個人、組織を誹謗中傷し、名誉を傷つける内容を含む場合
  • 第三者の著作権などを侵害する内容を含む場合
  • 企業や商品の宣伝、販売促進を主な目的とする場合
  • 選挙運動またはこれらに類似する内容を含む場合
  • 特定の団体を宣伝することを主な目的とする場合
  • 事実に反した情報を公開している場合
  • 公序良俗、法令に反した内容の情報を含む場合
  • 個人情報を書き込んだ場合(たとえ匿名であっても関係者が見れば内容を特定できるような、個人情報=氏名・住所・電話番号・職業・メールアドレスなど=を含みます)
  • メールアドレス、他のサイトへリンクがある場合
  • その他、編集スタッフが不適切と判断した場合

編集方針に同意する方のみ投稿ができます。

以上、あらかじめ、ご了承ください。

最新記事