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海外承認薬が使えない「ドラッグロス」解消へ、国際共同治験の条件を大幅緩和…厚労省

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 海外で承認された薬が日本で使えない「ドラッグロス」を解消するため、厚生労働省は、製薬会社が新薬開発を複数の国で進める「国際共同治験」の実施条件を大幅に緩和する。日本人で安全性を確かめる事前試験を求める独自ルールが障壁となり、欧米と比べ実施数が低迷している。このため、年内にも事前試験を原則不要とし、日本でも薬を迅速に使えるようにする。

海外承認薬が使えない「ドラッグロス」解消へ、国際共同治験の条件を大幅緩和…厚労省

 薬の承認を得るための臨床試験は一般的に3段階あり、少人数の患者らに薬を投与してから、最終段階は大人数を対象に実施する。

 国際共同治験は、それぞれの国で承認を得るために必要なデータを集めるもので、主に最終段階の試験で行われる。副作用や効果の人種差も調べる。欧米のメガファーマ(巨大製薬会社)を中心に実施されているが、医薬産業政策研究所によると、2000~21年の国別実施数で、首位の米国をはじめ、欧米各国が上位を占め、日本は23位にとどまる。

 これは、日本の独自ルールが妨げになっているとの指摘がある。日本が国際共同治験に参加する場合、厚労省は製薬会社に対し、原則として、事前に日本人で安全性などを確かめる臨床試験を実施するよう求めてきた。欧米ではこうした試験が必要となるケースはなく、多大な費用や時間がかかることから、欧米の製薬会社が国際共同治験の対象から日本を外すことにつながっているとみられる。

海外承認薬が使えない「ドラッグロス」解消へ、国際共同治験の条件を大幅緩和…厚労省

 そこで、このルールを見直し、患者が少ない小児がんや難病の薬、他の投与データで日本人での安全性を確保できると判断できる場合は、事前試験を求めないようにする。

 厚労省などによると、20年時点で直近5年に欧米で承認された新薬のうち、日本では72%(176品目)が未承認で、16年時点の56%(117品目)から増加した。日本での承認が遅れる「ドラッグラグ」にとどまらず、使えないままになる「ドラッグロス」へと事態が深刻化している。例えば、希少がんの「消化管間質腫瘍(GIST)」の治療薬「アバプリチニブ」は日本で使えない。

 これまでの事前試験で日本人特有の有害な影響が起きた事例はほとんど確認されていない。ただ、抗がん剤など重い副作用が起きやすく、臨床試験の情報も少ない場合は慎重に判断するよう促す。事前試験をしない場合は安全性に十分配慮し、必要に応じて投与後の検査の頻度を高めたり、少量の投与から始めたりして患者のリスクを下げる。

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