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脳死臓器提供1000件<4>生体肝移植 複雑な心中

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 今年10月、東京都内で開かれた移植医療を啓発する催しに、神奈川県の及川幸子さん(43)は、母(69)と長女(9)と一緒に参加した。マラソンでは約2キロのコースを走り、ゴールで笑顔を見せた。「スポーツを楽しめる日が来るなんて。家族みんなの苦しい決断があって、今の私がいます」と言う。

 5年ほど前、肝機能の数値が悪化し、原発性硬化性胆管炎と診断された。胆管が狭くなり、肝機能に影響が出る難病だ。

 2021年春、医師から「肝臓移植が必要になる」と告げられた。具体的には脳死となった人からの臓器移植か、親族を提供者(ドナー)とする生体肝移植かだ。大学病院に転院し詳しい説明を受けた。脳死移植は、実現まで3年以上かかり「病状を踏まえると、間に合わない」という。命をつなぐには生体肝移植しかなかった。

 家族に相談すると早速、弟と妹が「ドナーになってもいい」と申し出てくれた。「ありがとう」と答えたけれど、ためらいがあった。健康な体にメスを入れ肝臓の一部を取り出す。きょうだいとはいえ、そんな大きな負担をかけてよいのか。

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