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脳死臓器提供1000件<3>決断・苦悩 支える社会に

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脳死臓器提供1000件<3>決断・苦悩 支える社会に

移植医療のシンポジウムでドナー家族としての体験を話す米山さん(9月、東京都内で)

 三重県の 米山こめやま 順子さん(46)は数年前、夫の臓器提供に同意した。

 「脳のダメージが大きく、意識の回復は望めません」。救急搬送から5日目、主治医はさらに何かを言いたそうな表情だった。

 米山さんは悟り、夫に臓器提供の意思があることを伝えた。「死んだら灰になるだけ。使えるところは使ってほしい」と聞いており、夫の運転免許証に、提供者(ドナー)となる意思を示す署名があることも。主治医はうなずき「脳死である可能性が高い」と続けた。

 親戚の一人は提供に反対した。相談した友人は「私なら同意する。彼の意思なのでしょう」と言う。

 ベッドに横たわる夫の手を握ると温かい。それなのに「どう思っているの?」と問いかけても、反応はない。提供を決断してよいか、夫との思い出を振り返りつつ考えた。

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