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藤原るか「ヘルパーは見た! 在宅介護ペット事件簿」

医療・健康・介護のコラム

【最終回】愛猫4匹と亡き妻の故郷へ…心臓発作で夢破れ 日本の現実に不安

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「もしオレがいなくなったら」

 ところが、そのわずか1か月後に安崎さんは心臓発作を起こし、入院してしまったのです。一時は危険な状況で、ドイツ旅行どころではなくなってしまいました。

 なんとか2か月後に退院、以前とほぼ同じ生活に戻ったものの、これからの先行きが心配になったようです。安崎さんは子どもがなく、頼れる親族もいません。私が訪問する度に「もしオレがいなくなったら、猫たちはどうなるんだろう」と、繰り返すようになりました。私も力になりたいと思うのですが、万一の時に猫を引き取ってもらえそうなところには心当たりがありません。

保護団体と連携も…

 高齢の飼い主の入院や施設入居、あるいは突然の死により、ペットが行き場を失う――。今や、介護の仕事に携わっていれば、一度は直面する問題です。私が所属する介護事業所「グレースケア」でも、そうしたケースが相次いでいて、頭を悩ませていました。

 高齢者に関する相談を受けている地域包括支援センターは、この問題にどう対応しているのでしょうか。上司が、地元のセンターに問い合わせてくれました。

 センターの担当者によると、親族や近隣住民、医療・福祉関係者などから相談が寄せられると、地域の動物保護団体と連携し、新しい飼い主を探してもらうこともあるそうです。ただ、飼い主と同様にペットも高齢化が進んでいることもあって、そう簡単にもらい手が現れるものではありません。相談は増える一方だが、ペットの行き先が見つかるケースはごく限られているとのことでした。

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藤原るか顔.JPG

藤原 るか(ふじわら・るか)

 1955年生まれ。障害児の水泳コーチボランティアをきっかけに、1992年から東京都内の区の公務員ヘルパーとして勤務。2000年、介護保険の開始とともに区を退職してからは、民間事業所のヘルパーとして働いている。世界各国の介護ヘルパーを訪問する「世界のヘルパーさんと出会う旅」を企画。著書に「介護ヘルパーは見た~世にも奇妙な爆笑! 老後の事例集~」、「介護ヘルパーはデリヘルじゃない」(共に幻冬舎新書)。NPOグレースケア登録ヘルパー、ペットケア事業部準備室担当。

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