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脳死臓器提供1000件<2>ドナー家族の言葉に勇気 

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 ドクンドクン――。2019年、9時間に及ぶ心臓移植手術を終えて目を覚ました森原大紀さん(34)は、そっと胸に手をあてて鼓動を確かめた。

 「こんなに力強いのか」。脳死となった提供者(ドナー)から託された命への感謝がこみ上げた。

 故郷・広島市で教員をしていた15年春、せきが止まらず体がむくみ、階段の昇降で息が切れた。総合病院で、心臓のポンプ機能が落ちる「拡張型心筋症」と診断された。救命には心臓移植しかないという。

 頑健さには自信があった。小学生で始めたレスリングは高校総体ベスト8。勤務先の高校ではレスリング部の監督を務めていた。

 元気いっぱいだったはずなのに――。目の前が真っ暗になり、病室で、交際していた英国人女性リンジーさん(38)に切り出した。「君の未来を邪魔したくない。英国に帰ったほうがいい」

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