文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

知りたい!

医療・健康・介護のニュース・解説

手のひらの多汗症 新たに登場した塗り薬とはどんなもの?…患者は全国に493万人という推計も

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

 手のひらやわきなどに過剰な汗をかいてしまう多汗症。若い頃に発症することが多く、学校生活や仕事などで悩む患者は少なくありません。今年6月、手のひらの多汗症向けに新たな塗り薬が発売されました。治療の選択肢や治療できる医療機関は増えています。(鈴木希)

緊張や不安から

 多汗症は、わきや手足、顔、頭などから原因不明の汗が過剰に出る病気です。緊張や不安、ストレスなどが過剰な発汗につながると考えられています。

 日本皮膚科学会の診療指針によると、手のひらの多汗症は、左右に症状が出る、週に1度以上起こる一方、睡眠中は発汗が止まる、家族に同じ症状の人がいることがある――などの特徴があります。

 指針作りに携わった愛知医科大学皮膚科特任教授の大嶋雄一郎さんは「手の汗で困っていて、診断基準に当てはまるならば治療を考えてみてはどうか」と話します。

 患者が困る場面は様々です。友達と手をつなげなかったり、学生は試験の答案用紙がぬれて破れたりすることがあります。大人の場合は、仕事で扱う精密機器に悪影響が出ないかなどと悩むケースがあります。

 池袋西口ふくろう皮膚科クリニック(東京都)院長の藤本智子さんが2013年に約6000人に行ったアンケートによると、有病率は5・3%で、全国の患者数は493万人と推計されました。発症年齢の平均は13・8歳でした。別の調査では、困っていても実際に受診する人が少ないこともわかっています。

 治療法は、〈1〉塗り薬で汗の出口をふさぐ「塩化アルミニウム外用療法」〈2〉水の入った容器に浸して微弱な電流を流す「イオントフォレーシス療法」〈3〉ボツリヌス菌毒素による「ボトックス注射」などがあります。

 ただし、〈1〉と〈2〉は治療できる医療機関が限られる〈3〉は1回で数万円以上かかる――などの課題がありました。

 6月、公的医療保険が適用される塗り薬「オキシブチニン塩酸塩」が発売されました。

 薬の有効成分が汗腺の受容体にくっつき、発汗を促す「アセチルコリン」という神経伝達物質をブロックし、発汗を抑えます。塗るのは1日1回ですみます。

 重い副作用は報告されていませんが、かゆみや湿疹、口の渇きといった症状が出る可能性があります。

 東京都内に住む中学1年の女子生徒(13)は、小学校低学年の頃から悩んできました。試験や、人前で発表する時などに汗が過剰に出てきます。テニスラケットが握りづらい時もあります。10月からこの薬を使い始めると、劇的な変化ではないものの、手のひらの汗が出にくくなりました。女子生徒は「これまで汗で苦しい思いをしてきました。少しずつでも良くなるなら、この薬を続けたいです」と話しています。

治療相談検討を

 女子生徒を治療する藤本さんは「以前よりも多汗症の治療を行う皮膚科が増えています。治療をあきらめていた人も改めて相談してみてください。また、周囲の人が多汗症について理解することも大切です。患者の不安が減り、生活しやすくなるでしょう」と話しています。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

知りたい!の一覧を見る

最新記事