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5類移行前後でマスクへの意識は変わったか? コロナ禍前後の縦断調査

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 マスク着用には新型コロナウイルス感染症(COVID-19)など感染症への罹患リスク低減が期待される一方、不快感や息苦しさなど心身への悪影響も報告されている。日本では今年(2023年)3月13日に屋内でのマスク着用が推奨から個人の判断に委ねることを基本とする方針に変更され、5月8日にはCOVID-19が感染症法上の5類感染症へ移行された。大阪大学感染症総合教育研究拠点特任教授の村上道夫氏はオンラインアンケートに基づく縦断調査を実施し、COVID-19の5類感染症移行前後におけるマスク着用率と着用理由の変化を調査。マスク着用と着用理由の間に双方向的な関連を見いだしたと、Int J Disaster Risk Reduct( 2023;97:104072 )に報告した。

マスクの着用理由を8項目で調査

5類移行前後でマスクへの意識は変わったか? コロナ禍前後の縦断調査

(C)Adobe Stock ※画像はイメージです

 規範意識が強い人はマスク着用率が高いとの報告があるが、因果の方向性は明らかでない。村上氏らはこの方向性を明らかにすることができれば、マスク着用推奨の有無を問わずマスク着用に関する情報発信・共有に有用と考え、オンライン調査を行った。

 日本在住で20~69歳の成人を対象に、COVID-19の5類感染症移行前の4月と移行後の6月にオンラインアンケートを実施し、291人から有効回答を得た。マスク着用の理由として〈1〉重症化予防、〈2〉自身の感染予防、〈3〉他者の感染予防、〈4〉マスクを着用すべきとの規範、〈5〉安心感、〈6〉感染回避の衝動(できることはなんでもする)、〈7〉マスク着用が良いと思うという情報影響、〈8〉マスク不着用は非難されるべきとの同調圧力-の8項目について、5段階のリッカート尺度(1:全くそう思わない~5:とてもそう思う)で評価。マスク着用と着用理由の関連について交差遅延効果モデルを用いて分析した。

マスク着用が感染リスク回避意識を誘引

 分析の結果、マスク着用率は1回目(移行前)調査(67%)より2回目(移行後)調査(59%)でわずかに低下していた。

 マスク着用とその理由について因果の方向性を検討したところ、1回目調査における社会心理的要因に関する回答(規範や安心感など)は2回目調査におけるマスク着用と関連していた(標準化推定値0.24、95%CI 0.05~0.46)。一方、感染リスク回避に関する回答(自他の感染予防および重症化予防)との関連は認められなかった(同-0.06、-0.27~0.13)。すなわち、移行前に社会心理的理由を重視していた人は移行後もマスクを着用していたが、重視していなかった人は着用していなかった。

 また1回目にマスクを着用していたことは2回目における感染リスク回避に関する回答と関連した(標準化推定値0.13、95%CI 0.03~0.24)が、社会心理的要因に関する回答との関連はなかった(同0.00、-0.09~0.08、 )。これは、移行前にマスクを着用していなかった人は、移行後に感染リスクの回避を重視しなくなったことを示している。

図.マスク着用と着用理由の関連

5類移行前後でマスクへの意識は変わったか? コロナ禍前後の縦断調査

(村上道夫氏提供)

 今回の結果を受け、村上氏は「規範や安心感といった感染リスク回避以外の社会心理的理由がマスクの着用状況に影響を及ぼし、マスクを着用しないことが感染リスク回避意識の低減を引き起こすことが示唆された」と結論。「マスク着用の推奨と緩和のいずれにおいても、感染リスクの回避と社会心理的理由の両方に配慮した上で、なぜ着用する必要があるか/ないかについての情報や社会像の発信・共有が重要だ」と付言している。(服部美咲)

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