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医療・健康・介護のニュース・解説

嚥下機能が衰えても食事を楽しむ工夫は?…高齢者向けメニューがあるフランス料理店や65歳以上対象の料理教室も

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 いくつになっても楽しく食事を取りたいものです。今回のテーマは「食べる」。加齢で、かんだり、のみ込んだりする力が弱くなった人向けのメニューを用意しているレストラン、65歳以上を対象にした料理教室などを紹介します。(板垣茂良、小池勇喜)

煮込む・蒸す 特別メニュー

食べる…のみ込みやすい 逸品提供

かむ力や、のみ込む力の弱い高齢者たちに配慮した料理を楽しむ早川さん(右)(9月15日、神戸市で)

 「トウモロコシのスープがとてもおいしかった。焼きたてのブリオッシュも柔らかくて食べやすかった。次に来るのが待ち遠しい」

 神戸市のフランス料理店「アントルヌー」で9月15日、2時間のランチ(税・サービス料込み5500円)を楽しんだ早川 三子みつこ さん(87)はほほえんだ。

 介護が必要な早川さんは普段、神戸市の有料老人ホームで暮らしている。同店への訪問は今年2月以来といい、この日は11月の誕生日の前祝いを兼ねて、娘2人が提案した。

 アントルヌーは毎月第1と第3金曜日、かむ力やのみ込む力が弱い高齢者や障害者とその家族向けのランチタイムを設けている。この日は、早川さん親子など計3組が参加した。

 同店の高山英紀シェフ(46)は、食材の粘り気やとろみを生かして、食べやすく、見た目にも美しい一皿を生み出すことにこだわる。

 例えば、硬いものが食べられない早川さんに提供したメインディッシュの煮込みハンバーグは、細びき肉を丸めて、デミグラスソースで1時間半ほど煮た後、ミキサーにかけてペースト状にした一品だ。これをとろみのあるジャガイモのピューレと2層にすることで、のどを通るスピードをゆるめ、誤って気管に流れ込んでしまう 誤嚥ごえん を防ぐように工夫した。

 実は早川さんは、7月末に食事量が極端に減り、10日ほど入院した。その際、2月の来店時に撮った料理の写真を眺めながら、「頑張って退院するから、またお店に行きたい」と家族に話していたという。前日の14日には、服選びに1時間をかけた。

 世界的に有名な料理コンクールでの入賞経験もある高山シェフ。父親の病気をきっかけに、人に必要とされる食事について改めて考えたことが、今の取り組みにつながったという。

 「おいしい料理を食べることは生きることにつながる。これからも高齢者や障害者の人が安心して食事を楽しめるレストランを続けていきたい」と話す。

HPで全国の店紹介

食べる…のみ込みやすい 逸品提供

 飲み物や食べ物をのみ込む機能に課題のある高齢者らに対応した食事を提供するレストランは、「摂食 嚥下えんげ 関連医療資源マップ」( https://www.swallowing.link/ )などでも検索できる。このホームページでは、神奈川県や愛知県、滋賀県など全国の80店舗以上が紹介されている。

 横浜市のフランス料理店「 HANZOYAハンゾウヤ 」もその一つだ。同店では、通常のコースのほか、「蒸す」「煮込む」などの調理方法を駆使し、のみ込みやすさや、スプーンでのすくいやすさに配慮したコース(税・サービス料別9460円)を用意している。

 同店の嚥下対応メニューは50種類以上あり、コースの内容は、事前に来店者の健康状態を尋ねて決める。毎週1組ほどが利用し、一緒に訪れた家族が、完食する高齢者の姿に「普段はそんなに食べないのに……」と驚くこともあるという。

 同店の加藤英二シェフ(53)は、歯科医師や管理栄養士らと研究を重ね、約10年前から嚥下対応のメニューを提供している。加藤シェフは、「歯触りや口溶けに普段からこだわっている料理人なら、のみ込みやすい料理を考えることはできる。嚥下食対応のメニューを提供する店がもっと増えてくれれば」と期待している。

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