55歳の娘が1型糖尿病と診断された どのような生活を送ればよい?
55歳の娘が1型糖尿病と診断されました。時間ごとに自分で血糖値を測り、インスリン注射を打っています。食事にも気をつけていますが、このままの生活でよいでしょうか。(76歳女性)
インスリン注射は必須
稲垣 暢也 北野病院理事長(糖尿病・内分泌・栄養内科学)(大阪市北区)
糖尿病は血糖値が高い状態が続く病気で、血糖値を下げるインスリンというホルモンの作用が不十分になって起こります。高血糖状態が長引くと様々な合併症を招き、進行すると人工透析や失明、足切断などに至るため、血糖値をコントロールする必要があります。
糖尿病の90%以上を占める2型糖尿病は、遺伝因子や生活習慣の悪化で、通常は中高年に発症します。一方、糖尿病の1~2%に当たる1型糖尿病は、 膵臓 内にある膵島が自身のリンパ球によって攻撃・破壊され、インスリンが枯渇することで発症します。多くは小児~思春期に発症しますが、相談者のように中高年で発症する場合もあります。
2型とは異なり、1型はインスリン補充が生命維持に必須です。相談者のように、血糖値を自己測定しながら1日に3~4回、インスリンの皮下注射をすることが一般的な治療法です。同時に、食事に気を付けることで、通常の生活を送ることができます。
最近は皮膚に装着し、持続的に血糖値を測定する機器やインスリンを注入するポンプも進化していますので、専門医にご相談ください。一般的ではありませんが、膵島や膵臓を移植する方法もあります。iPS細胞(人工多能性幹細胞)などから膵島を作る再生医療技術も進んでおり、再生された膵島の移植の臨床応用が期待されています。