文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

知りたい!

医療・健康・介護のニュース・解説

こども誰でも通園制度(仮称) 試行的事業の利用時間は上限10時間…こども家庭庁 初の全国共通の仕組み

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック
未就園児の保育施設利用 開始へ…「誰でも通園制度」上限月10時間

 保育所や認定こども園などに通っていない子どもも保育施設を利用できるようにする新制度「こども誰でも通園制度(仮称)」が、生後6か月~2歳の乳幼児を対象に、利用の上限を月10時間としてスタートすることが固まった。2025年度以降の本格実施に向けた「試行的事業」と位置づけ、初めて全国共通の仕組みを作る。(石井千絵)

 同制度は、未就園児や、地域で孤立しがちな専業主婦らを支える目的で、こども家庭庁が本格実施に向けて検討を進めている。

 課題を検証するための試行的事業は当初、24年4月に開始する予定だったが、育児負担の軽減策として子育て世代からの注目度が高いこともあり、政府は速やかな実施が必要と判断。準備が整った自治体は今年度中に前倒しで始められるようにする。間もなく決定する経済対策に、自治体への財政支援が盛り込まれる方向だ。

 同庁がまとめた案によると、新制度の対象施設には、保育所や認定こども園、幼稚園に加え、公共施設などを活用した「地域子育て支援拠点」も含める。

 集団保育を初めて経験する子どもが早く慣れることができるように、利用開始当初は一定時間、親子で一緒に過ごせる「親子通園」の導入も検討している。

 保育施設側の事情にも配慮し、通常の在園児と一緒に過ごすことも、専用の部屋を設けることも可能とするなど、施設ごとの多様な運営方法を認める。

全国31自治体で試行

未就園児の保育施設利用 開始へ…「誰でも通園制度」上限月10時間

 今年度は、全国31自治体でモデル事業を実施している。

 東京都文京区では、30人程度の利用を想定していたところ、約180人の応募が殺到。これまで保育園などを利用していなかった乳幼児の新制度へのニーズの高さがうかがえる状況だ。

 モデル事業の実施方法には自治体の裁量を認めており、保育施設に空きが目立つ地域では、利用時間に上限を設けず受け入れている例もある。

 一方、空きの少ない都市部では「1回8時間程度、週1~2回」といった制限を設けているケースもあるなど、各地でばらつきが生じている。

 これに対し、「試行的事業」では、将来的に全国一律の内容でサービス提供することを見据え、保育施設の空きが少ない地域も含めて実施できる内容として、利用は月10時間までとした。モデル事業よりも実施する自治体を大幅に増やし、本格実施の制度設計に向けて課題を検証することにしている。

 制度案については、こども家庭庁の有識者検討会の構成員から「利用時間や対象年齢をもっと広げてほしい」などの要望も出ている。自治体の裁量を求める声もあり、本格実施に向けてこうした論点を検討していく。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

知りたい!の一覧を見る

最新記事