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医療・健康・介護のニュース・解説

介護をする人は全国に629万人 各地で広がりつつあるケアラー支援条例とはどのようなもの?

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 家族など身近な人の介護や世話をする介護者(ケアラー)を地域全体で支えることを目指し、自治体が条例を制定する動きが広がっている。埼玉や北海道、長崎などの自治体がケアラー支援条例に基づく具体的な取り組みを始めた。高齢者が高齢者を支える「老々介護」や家族の介護に追われる若年層の「ヤングケアラー」など介護者への支援が急がれている。(小沼聖実)

ケアラー支援 各地で条例

ケアラーサポーターを養成する研修会(9月7日、北海道稚内市で)

 「介護者も介護される側と同様に支援が必要になる」

 9月7日、北海道稚内市で開かれた研修会で、講師の中村健治・道ケアラー支援推進センター長は、自治体の福祉担当職員など約20人に語りかけた。参加した高校養護教諭の戸川美衣子さん(53)は学校や福祉、介護などが連携して支援する必要性を感じたという。「今後、家族のケアを担う生徒から相談を受けた場合に、対応できる幅が広がった」と話す。

 2022年に条例を制定した道は今年度からケアラーサポーターの養成に取り組んでいる。介護者の実態調査で相談できる相手や場所を求める声が多かったためだ。今後3年間で行政や福祉施設職員、民生委員など約3000人を養成する。

ケアラー支援 各地で条例

 道はケアラーが気軽に相談できる場所づくりなどについて市町村にアドバイザーを派遣し、啓発シンポジウムを開催した。道高齢者保健福祉課の北山浩之主幹は「ケアラー支援の事業に長期的・継続的に取り組める」と制定の意義を強調した。

 また、今年4月に条例を施行したばかりの長崎県の ごう 真奈美・県議は10月14日、京都市で開かれた市民団体のフォーラムで、「県も介護の当事者団体も関係が密になった」と条例作りの経験を市民ら約50人に語った。江さんと一緒に登壇した「認知症の人と家族の会長崎県支部」の神原千代子さん(76)は認知症の夫を約10年介護した経験を持つ。自治体担当者の反応が制定前後で変わったため、「(介護者に対する支援の必要性の)理解が広まっていると感じる」と話した。

ケアラー支援 各地で条例

 総務省調査では、22年10月時点で親などの介護をする人は629万人おり、12年と比べ71万人増えた。現場では介護や看病疲れも指摘されている。介護者を支援する条例は、埼玉県が20年3月に全国で初めて制定した。地方自治研究機構によると、現在は6道県13市町が施行している。

 条例による効果の一つは、関係部局が連携して介護者の支援に取り組めることだ。埼玉県は21年度からの2年間で、ヤングケアラーを支援する研修会を10回開催し、教員や自治体の福祉担当職員ら延べ654人が参加した。岡山県総社市も21年度、市内の小中学生約4000人を対象に実態調査し、ヤングケアラーの可能性がある子ども57人を把握した。現在、本人や家族の聞き取りを踏まえて、教員や福祉関係者などが支援の方法を協議している。

 ただ、条例を実際の取り組みにどう生かすか苦労している自治体もある。日本ケアラー連盟の中嶋圭子理事は「どう具体策につなげるかが重要。自治体が取り組みやすいよう国などが枠組みを示す必要がある」と指摘している。

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