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常喜眞理「女のココロとカラダ講座」

医療・健康・介護のコラム

ギョッ! 家の中にトコジラミ…腕や足に赤いブツブツ ステロイド軟膏と抗アレルギー薬でかゆみを抑える

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ギョッ! 家の中にトコジラミ…腕や足に赤いブツブツ ステロイド軟膏と抗アレルギー薬でかゆみを抑える

 30歳代後半のAさんは、体に広がる発疹とかゆみで来院された。腕や足に赤い発疹が何か所もあり、3~4週間で発疹が広がりかゆみが増してきたという。このところ、かゆくて夜も眠れない日が続いていた。

 腕、足の他、首あたりにも虫に刺された痕のような発疹があり、数個ずつ直線上に並んでいるのが多数見られた。発疹は赤く、少しはれている。最初はあまりかゆみもなかったようだが、日に日に発疹が増え、かゆみがひどくなっていくので怖くなり、自身でネットで検索したところ、発疹の画像からトコジラミではないかと考えた。家の中を探すと数ミリの虫を見つけ、驚いて来院された。

シラミではなくカメムシの仲間

 トコジラミはかつて南京虫と言われていた。シラミという名前ではあるが、今でも幼児によく見られるアタマジラミとは違う種類の昆虫で、カメムシの仲間だ。

 トコジラミは刺された時にはさほどかゆくはないが、何回も刺されることによってアレルギー反応を起こし、徐々に赤みやはれ、かゆみがひどくなってくる。ダニに刺された痕と比較すると、見た目の決定的な違いはないのだが、ダニは脇腹や太ももなど、衣服に隠れた軟らかい部分を刺されることが多いのに対して、トコジラミは、衣服から出ている手足が刺される場合が多い。一つひとつの皮疹が大きく、連なっていることが多いのも特徴だろう。いずれも家の中で夜中に刺されることが多い。

 ダニは、肉眼で確認するのが難しいほど小さいのに比べて、トコジラミは、数ミリ程度の大きさのため、増えると発見しやすい。部屋の隅に、虫や血を吸って赤黒くなったふんが見つかることがある。

駆除は専門業者にお任せ

 Aさんはすでに業者に駆除の依頼をしていた。このところは通常の殺虫剤に抵抗性のあるトコジラミが増えており、個人で駆除するのは難しいので、専門業者にお任せするのが良い。

 Aさんにはステロイド 軟膏(なんこう) を塗ってもらい、かゆみを抑える抗アレルギー薬を飲んでもらった。家の駆除の効果もあり、10日ほどで症状が改善、しばらく同じ治療を継続して治癒した。

国内外で増加

 Aさんは数週間前に国内外の出張があり、複数の場所に外泊していたため場所は特定できなかったが、荷物のどこかにトコジラミが潜んでおり、持ち帰った可能性が考えられた。

 トコジラミは、過去のものではなく、再び国内外で増加している。床など地面に近いところに生息しているため、宿ではスーツケースは床に置かない、車内の座席や部屋のクローゼットの隅は使用前に必ず目視するなど、外出先では普段から配慮が必要だ。(常喜眞理 医師)

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常喜 眞理(じょうき・まり)

 家庭医、医学博士
 1963年生まれ。東京慈恵会医科大学卒業。消化器病学会専門医、消化器内視鏡学会専門医・指導医、内科学会認定医、日本医師会認定産業医。院長を務める常喜医院(内科、皮膚科)での診療のほか、慈恵医大新橋健診センターでは診療医長として健康診断(人間ドック)の内科診察を行い、婦人科や乳腺外科の診断を担当する。様々な大手企業の産業医でもあり、職場におけるメンタルヘルスのサポートを長年行っている。著書に『オトナ女子 あばれるカラダとのつきあい方』(すばる舎)、『お医者さんがやっている「加齢ゲーム」で若返る!』(さくら舎)。現在、BS-TBS「Together」に準レギュラー出演中。

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