あんしんゼミ
医療・健康・介護のコラム
保護された子を家庭で育てる里親 なるために必要なことは?…養子縁組との違いは
なり手が不足
ゼミ生 ほかの人の子どもを育てている人がいると聞きました。
教授 里親ですね。児童福祉法に基づき、保護者のいない子どもや虐待、経済的理由などで実親と暮らすのが難しい子どもの養育を預ける制度です。民法に基づき親子関係となる「養子縁組」と違い、法的な親子関係はありません。原則18歳未満の子どもを一定の期間育てる「養育里親」や、障害や虐待を受けてケアが必要な子を育てる「専門里親」、扶養義務のある親族が引き取る「親族里親」があります。ほかに養子縁組を目指す「養子縁組里親」もあります。
昨年3月の時点で、7798人の子どもが、里親家庭や、里親経験者が5~6人の子どもを育てる「ファミリーホーム」にいます。保護された子どもの多くは児童養護施設や乳児院で暮らし、里親のなり手は不足しています。
ゼミ生 どんな人がなるのですか。
教授 厚生労働省の2018年の調査によると、動機で最も多いのが、「児童福祉への理解から」(約42%)で、次に「子どもを育てたいから」(約31%)です。年齢層は、里父で最も多いのが「60歳以上」、里母が「50~59歳」となっています。
ゼミ生 里親になる手続きを教えてください。
理解と愛情が重要
教授 まず地元の児童相談所に希望を伝え、説明を受けます。さらに制度の内容や子どもの権利などについて研修で学びます。児相の担当者が家庭を訪問し、家庭環境などを調査します。その結果を基に都道府県が審査・認定し、里親として登録されます。その後、児相から子どもが紹介されます。面会や交流を経て、養育が始まります。定期的に登録を更新するための研修もあります。独身の人や共働きの人でもなれます。子どもへの深い理解と愛情が何よりも重要です。
ゼミ生 行政の支援はありますか。
教授 困ったら児相や市区町村の担当者、支援機関などに相談できます。里親同士が交流する「里親会」もあります。里親だけで子どもを育てる必要はありません。経済的な支援もあります。養育里親の場合、子ども1人当たり月9万円の手当のほか、生活費が1人当たり月約5万~6万円、医療費や教育費などが実費で支給されます。
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