山口真弓の「子どものココロとカラダを育む簡単レシピ」
医療・健康・介護のコラム
子どもに好き嫌いがあって食べてくれずイライラ 原因は?…野菜を食べてもらう工夫
こんにちは。管理栄養士の山口真弓です。
今回は、自分が開く料理教室などで、よく質問をいただく子どもの「好き嫌い」への対処法を紹介します。
「食べない」理由は…
食べないのには、理由があります。子どもは、(1)青や緑の色(2)泥臭さや生臭さなどのにおい(3)酸っぱい、苦いなどの味(4)辛いなどの刺激――を本能的に嫌います。体からの防御反応により、体が受け付けないという選択をしているのです。
甘味のあるカボチャやサツマイモは食べられるのに、緑色で苦みを感じるホウレンソウやピーマンは食べられない――。これは、本能や感覚で食べている子どもにとっては当たり前のことです。大人のように「肌がキレイになるから」とか、「体の調子が整うから」など、理性を働かせて食べることはできません。
お子さんに好き嫌いがある場合、何か問題が生じていますか。発育が十分で、便の状態も良く、よくかんで食べ、目をキラキラ輝かせて活動できていれば、おおかた栄養補給に問題はないと言えます。
「好き嫌い」イコール「偏食ではない」
私はいつも、こんなふうに話しています。「好き嫌いをなくそう」って考えなくていいのです。
「食べなさい」とプレッシャーをかけるのは逆効果
食事の時間は、穏やかで楽しいものにすることが大切です。ストレスやイライラを抱えながら食べれば、栄養の吸収が悪くなります。緊張した状態では交感神経が働き、きちんと体に栄養が吸収されず、腸内環境にも悪影響を与えてしまいます。
「食べなさい」とプレッシャーをかけても、受け取る側の準備が整っていなければ食べられませんし、逆効果です。ぜひ、食卓の雰囲気づくりを大事にしてほしいと思います。
苦手なものでも遠ざけない
苦手なものがあっても、食卓に出すことが大切です。「どうせ食べないから」と食卓から遠ざけてしまうと、子どもは新しい味に出会う機会を逃してしまいます。
「食べさせよう」とするのではなく、周りの大人がニコニコしながらおいしそうに食べる姿を見せることが重要です。「嫌い」な食べ物を「好き」にするには、「脳が喜ぶ・幸せだと感じること」と、一緒に脳に記憶させることが必要と考えられています。
5~10年かかるかも
苦手な食べ物でも、少しずつ口にする経験を重ねることによって、その味を受け入れて、おいしいと感じるようになっていきます。食材は、産地や育て方、収穫時期、調理法などによってもおいしさが変わってきます。
例えば、同じキャベツでも、春のキャベツ、秋冬のキャベツ、軟らかくゆでたもの、いためたもの、蒸したものでは、それぞれ味も食感も異なります。どんな畑でどんな肥料で育てたのか、どんな人がどんな思いで作ったのか。この違いだけでも味は変わります。
だから、「今」嫌いなもの・苦手なものでも、根気よく食卓に出すことが大切なのです。5年、10年かかるかもしれない――。それくらいの気持ちで食事作りをしていただければOKです。
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