タレント 矢方美紀さん
一病息災
[矢方美紀さん]乳がん(2)乳房を全摘 悩んで「再建しない」と決めた理由…決め手は友人の一言
2018年1月、名古屋市の大学病院で精密検査を受け、がんがわきの下のリンパ節に転移していることが分かった。
その後、治療法を巡り何度も選択を迫られた。
まずはがんを摘出する手術方法を決めなくてはならなかった。乳房を全て切除する全摘か、がんとその周囲だけを切除する温存か。1週間悩んだ末、全摘手術を受けることにした。
温存しても、残った乳房が変形する可能性もあったし、将来、病状によっては再手術で全摘することもあると聞いたからだ。
同年4月の手術後、初めて左胸を見た時は、「当たり前にあったものがない」という違和感を覚えた。手術前から、失った乳房を再建する手術をしたいと考えていたものの、すぐには結論が出なかった。再度の手術への抵抗もあった。
退院してから、周りに相談した。乳がんを経験した友人は「シリコーン製の人工乳房は、温かみはない。別に再建しなくてよかったかな」と教えてくれた。意外だった。「みなが再建して安心を手にするわけではない」と分かった。
少しずつ日常を取り戻す中で、乳房がなくても、思ったほど不便ではないことにも気づいた。銭湯では、湯船に入る直前まで胸にタオルを巻いておけば、視線を向けてくる人はいなかった。
「あ、私、胸がなくても悲しいこともないな。何を大切にするかは人それぞれ」
同年9月、主治医に再建をしないことを伝えた。
【写真8枚】矢方美紀さん 乳がん闘病中のウィッグコレクション
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タレント 矢方美紀 さん(31)
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