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洗剤販売額が10年で3割増、計量不要な「ワンショット型」好調…「多少高くても高機能な商品使いたい」
家庭用洗剤の高付加価値化が進んでいる。計量が不要な「ワンショット型」が市場のけん引役で、市場全体の販売額は10年間で3割伸びた。新型コロナの5類移行による外出増や夏場の猛暑の影響もあって洗濯需要が高まり、各社が新商品を続々と投入している。

各社の主力商品が並ぶ洗濯洗剤売り場(東京都大田区のMEGAドン・キホーテ大森山王店で)
最大手の花王は8月、看板ブランド「アタック ゼロ」から「パーフェクトスティック」を発売した。パウダー状の洗剤を特殊フィルムで棒状に成形し、1回の洗濯で1本入れるだけという手軽さを打ち出す。
洗濯1回の単価は液体に比べ約2倍だが、売れ行きは好調だ。洗浄力もこれまで以上に高めたという。原岡理映ファブリックケア事業部長は「タイムパフォーマンス(時間対効果)を重視する人が増え、需要が拡大している」と話す。
この分野で先行するP&Gは、2014年に液体洗剤をフィルムで包んだ「ジェルボール」を発売し、市場を開拓してきた。今年2月にはシワ防止効果を加えた改良品を売り出し、「革新を続けることでさらに成長の可能性がある」(ヴィリアム・トルスカP&Gジャパン社長)とする。
一方、主流の液体洗剤で巻き返しを狙うのがライオンだ。洗浄力と衣類の色を保つという従来は両立しにくかった機能を兼ね備えた「ナノックス ワン」を9月に発売した。竹森征之社長は「洗濯洗剤分野で3~5年以内に上位2社と三つどもえの状態まで引き上げたい」と自信をみせる。

「子どもが2人いて洗濯は毎日するので、多少高くても高機能な商品を使いたい」。9月下旬、MEGAドン・キホーテ大森山王店(東京都大田区)の洗剤売り場で女性会社員(53)は品定めをしていた。
民間調査会社インテージによると、国内の洗濯洗剤市場は拡大傾向にある。22年の販売金額は約2280億円と10年前から3割伸びた。1キロ・グラムあたりの単価は403円で、この5年で2割以上上昇した。
背景には原材料の高騰に加え、機能性を高めたことによる単価アップがある。2000年代初期まで粉末が主流だった洗濯洗剤は、10年頃に液体が粉末を逆転。14年には「第3の洗剤」としてワンショット型が浸透し始めた。現在の販売シェア(占有率)は液体が7割、ワンショット型が2割、粉末が1割で、単価の高めなワンショット型の広がりが目立つ。
日用品業界に詳しいインテージの飛田秀美アナリストは「コロナ禍を経て衛生意識も高まり、洗濯洗剤の高付加価値化が進みやすい環境といえる。簡便さを求める需要が増える一方、柔軟剤といった関連製品の多様化も目立つ傾向だ」と話している。
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