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シニア向けの「学び」の場 大学や海外に…50歳以上を対象にしたプログラムも開設

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 仕事や子育てが一段落した世代が、大学や海外に学びの場を求めています。新しい知識を得るだけではなく、セカンドライフを充実させるきっかけをつかんでいるようです。シニアの学びの最前線を紹介します。(河野越男、板垣茂良)

受講生同士でサークル活動も

■仲間づくり

学ぶ…第2の人生 大学や海外で充実

グループディスカッションに臨む神谷さん(左から2人目)(9月16日、早稲田大学日本橋キャンパスで)

 9月16日、東京都中央区の商業施設「コレド日本橋」内にある早稲田大学日本橋キャンパス。愛知県岡崎市の神谷純さん(64)は、シニア世代に役立つコミュニケーション術の講座を受けていた。

 「会社では、必要だったので法務や財務の勉強をした。ビジネスではなく、幅広い分野を学びたい」と動機を語る。

 4月から受講しているのは、50歳以上の社会人向けに昨年度開設されたプログラム「ライフ・リデザイン・カレッジ」(LRC)だ。社会課題や社会貢献活動に必要な知識を学べる。1年間で12科目以上を修了すると、履修証明書を受け取れる。今年度の受講者約70人の平均年齢は61歳だ。

 神谷さんは、62歳で電機メーカーを退職。魅力的な講座を求め、都内の大学から選んだ。週2~3日、東海道新幹線で通う。

学ぶ…第2の人生 大学や海外で充実

 印象に残るのは、ドイツ生まれの政治哲学者ハンナ・アレントの著書を取り上げた科目だ。自宅で読み込み、クラスメートとレジュメにまとめて要旨を発表し、討論した。2~3週間かかったが、「仲間と読み切った」という達成感があった。

 受講生同士の勉強会やサークル活動など交流が活発で、歌舞伎や相撲を見に出かけたこともある。「金融や不動産の知識がある人もいる。将来、一緒に社会課題の解決のためのソーシャルビジネスができるかもしれない」と意欲を見せる。

■新しい道

学ぶ…第2の人生 大学や海外で充実

プレミアム・カレッジの相談会で質問に答える高山さん(右)(9月23日、東京都立大学で)

 「40年の会社員人生がコロナ禍で中途半端な終わり方をしてしまうと思った」

 9月23日、東京都八王子市の都立大学で開かれた「プレミアム・カレッジ」の受講相談会。2年目の専攻科で学ぶ相模原市の高山秋彦さん(66)が登壇し、受講希望者らに語った。

 65歳で電機メーカーを退職する直前、在宅勤務が続いていた。「会社を去る時に花束をもらうことは、かなわなかった。居所もなく、もんもんとしていた」。これまでとは違う働き方をしたい。でも、何から始めればいいだろう。新聞のチラシで募集の広告を目にし、「これだ」と、すぐに申し込んだ。

 都政の課題を学ぶフィールドワークが充実しているのが特長で、都庁職員の案内で豊洲市場などを訪れた。

 教養科目を受けるうちに、生態学や植物学といった自然に関わる学問に魅力を感じ、専攻科に進んだ。博物館や地元の自治体、自然保護団体のメンバーらとも交流を重ねる中で、修了後は、地元の絶滅危惧種の育成に取り組む同団体の活動に加わる目標ができた。「関心が広がり、今後どう生きるかが見えてきた」と喜ぶ。

 学んだことを生かせる環境作りを進めるのは、立教大学(東京都豊島区)だ。「立教セカンドステージ大学」の「社会貢献活動サポートセンター」には、人権と貧困、外国人との共生など11の研究グループがある。修了生ら約400人が、勉強会やNPO法人との連携を通じて活動をしている。

■修士号の取得も

 特定の分野を深く掘り下げて研究し、修士号を取得する道もある。

 東京都国分寺市の板谷卓巳さん(68)は損害保険会社を退職後、近くの東京経済大学「シニア大学院」に入学した。選考は課題リポートと口述試験のみで、本来2年間の修士課程を最長4年に延ばせるなど、ゆとりがあるのがメリットだ。

 板谷さんは現在4年目で、指導教授のゼミに参加し、貨幣論について修士論文を書いている。「自分でテーマを決めて能動的に研究していくのは面白い」と笑顔で語った。

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