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医療・健康・介護のコラム

女性の働き方の変化を示す「L字カーブ」とは?…男女間の賃金格差が課題

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L字カーブとは?…女性正規雇用の変化示す

 ゼミ生  最近、「L字カーブ」という言葉を聞きました。何ですか?

 教授  女性の働き方の変化を表現した言葉です。人口に占める正社員など正規雇用の割合である正規雇用比率を年齢別にグラフで表すと、20歳代後半にピークを迎えます。その後は、右肩下がりです。グラフを左に90度回転させた形が、アルファベットの「L」に似ていることから名付けられています。

出産で辞め 非正規で復帰

 ゼミ生  「M字カーブ」という言葉もありますよね。違うんですか?

 教授  M字カーブは、雇用形態にかかわらず、働いている人などの割合である労働力人口比率を年齢別に示したグラフの形のことです。30歳代で出産や育児を機に退職し、子育てが落ち着いた頃に再び働くといった傾向が読み取れますが、働く女性が増えたことで、解消されつつあります。保育施設の増加や企業の両立支援策が進んだことが要因です。

 ゼミ生  では、「L字」になるのはどうしてですか?

 教授  出産や育児を機に正社員を辞め、再び働く際に、パートなどの非正規雇用の仕事に就く人も多いからです。家事や育児の負担が女性に偏っており、育児との両立が難しいことが背景にあります。正規雇用の仕事を辞めた女性を対象にした厚生労働省の委託調査(2021年)によると、両立困難な理由に、「自分の気力・体力がもたない」(54%)、「勤務先の雰囲気」(52%)、「夕方・夜間の勤務」(28%)、「両立支援制度の未整備」(22%)を挙げています。

男女間の賃金格差に

 ゼミ生  どんな課題がありますか?

 教授  男女間の賃金格差につながります。非正規雇用は正規雇用に比べ賃金が低いため、内閣府によると、21年の給与水準は男性一般労働者を100とした場合に女性は75.2です。諸外国と比べて格差が大きいです。正社員として働き続けたり、復職できたりする環境作りが重要です。女性の正規雇用比率は、25歳~34歳に50%を上回っています。子育て負担を軽減する様々な施策によって、今この年代である女性が、正社員のキャリアを維持できるかがカギを握ります。企業の両立支援の充実に加え、夫が家事や育児に積極的にかかわることが大切です。

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