性被害を受けて40年 今も感触を思い出し怖くて眠れない…ジャニーズ性加害問題の被害者・石丸志門さんが体験語る
インタビューズ
ジャニーズ性加害問題 トラウマによるPTSDが生涯続くことも…行為を繰り返されて生じる「複雑性PTSD」とは
子どもの頃に性被害を受けると、大人になっても心身の不調が続くということが少なくありません。ジャニー喜多川氏(2019年死去)の性加害問題を受け、日本トラウマティック・ストレス学会は、会長声明を出しました。性加害が被害者に及ぼす影響について、同学会会長の重村淳さん(目白大学教授)に話を聞きました。(聞き手・利根川昌紀)
四つの症状
――会長声明を出された理由を教えてください。
日本トラウマティック・ストレス学会は、精神科医や臨床心理士などで構成されています。犯罪被害や災害、事故、虐待といった過酷な出来事を経験し、トラウマ(心的外傷)が生じた方々を専門的な観点から支える学会です。
ジャニー喜多川氏による性加害問題は、非常に多くの方が被害に遭われていて、そうした方々を社会全体で支えていかなければいけないと考え、声明を出しました。
被害を告白された方は今、不特定多数の人から 誹謗 中傷を受けています。それによって、さらに心の傷が深くなる「二次被害」を防いでいく必要もあります。
――性被害を受けると、心身にどのような不調が出るのでしょうか。
性被害は、自分のコントロールが及ばない形で、いちばんプライベートな部分に、圧倒的な力によって暴力を受けるというものです。被害を受けられた方は、心に非常に大きな傷、トラウマが生じます。子どもの頃に性被害を受けた場合、理解できなかったり言葉として表せなかったりして、大人になって初めて告白する方もいます。
トラウマが引き起こす代表的な病気は、PTSD(心的外傷後ストレス障害)です。(1)突然、恐怖体験がよみがえる「フラッシュバック」が起きる(2)場所や人物など、被害と関連する事柄を避ける(3)関心や喜びを感じられなくなる(4)神経が過敏になり、常に何かにおびえてビクビクするようになる――の四つの症状が特徴です。こうした状態が1か月以上続くと、PTSDと診断されます。
被害が1回だけではなく、長期間繰り返される場合もあります。この場合、PTSDの四つの症状に、(1)感情がコントロールできない(2)自分自身に否定的な概念を持ってしまう(3)対人関係に困難が生じる――の三つが加わることがあります。こういう症状の方は「複雑性PTSD」と診断されます。
――PTSD以外の病気を発症することはありますか。
うつ病や不安症、不眠といった精神的不調を来すことも少なくありません。PTSD単独ということはまれで、むしろ、これらの病気と併発することが多いです。
また、つらい気持ちから一時的に逃れようと、酒量が増えたり薬物に手を出したりする人もいます。なかには、依存症につながる人もいます。
性被害に遭ったのが幼少期や思春期だと、大人や社会に対して不信感を抱きやすくなり、その後の人生に悪影響が及ぼされます。
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