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山中龍宏「子どもを守る」

医療・健康・介護のコラム

子どもの事故予防にAIの活用を…幼稚園、保育園ですべり台事故が多発。小学校では鉄棒

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 子どもは、遊びを通して自らの限界に挑戦し、身体的、精神的、社会的に成長します。また、集団の遊びの中で自分の役割を確認し、遊びを通して自らの創造性や主体性を向上させていきます。遊びは、すべての子どもの成長にとって必要不可欠なものです。その一方で、遊具による事故は後を絶ちません。

 今回は、遊具の事故の実態について見てみたいと思います。いろいろなところから遊具による事故が報告されていますが、継続的に得られる情報を見てみましょう。

子どものすべり台事故が多発。小学校では鉄棒事故…予防のためにAIの活用を

イラスト:高橋まや

救急搬送事故が多いすべり台

 東京消防庁によると、遊具での事故で、2016年から20年までの5年間に、12歳以下の児童4515人が救急搬送されています。毎年850~950人前後が搬送されているのです。

 年齢別に見ると、2歳が最も多く、次いで3歳、4歳の順でした(2020年)。

 以前は4~6月に多く事故が発生していましたが、2020年は新型コロナ感染拡大の影響で全国の小学校が休校となり、この期間の事故は減少。逆に11~12月が大きく増加しました。

 遊具別に見ると、すべり台での事故が最も多く、次いで、ぶらんこの順でした。重傷度が高い事故は、雲てい、のぼり棒・すべり棒、回転式遊具が目立ちました。

小学校で多いのは鉄棒、雲てい、ぶらんこ

 日本スポーツ振興センター(JSC)の災害共済給付のデータ(2014~18年度)を 「固定遊具の事故防止マニュアル」 から見てみましょう。

子どものすべり台事故が多発。小学校では鉄棒事故…予防のためにAIの活用を

 小学校での固定遊具による災害発生件数は13万4014件。遊具別で見ると、鉄棒、雲てい、ぶらんこなどが多いのです(表)。事故の多い遊具の傾向は各年度でほとんど同じでした。

 幼稚園での災害発生件数は2万3570件。遊具別で見ると、多いものから順に、すべり台、総合遊具・アスレティック、鉄棒、雲てい、砂場の順でした。

 保育園等では4万1175件で、ケガが多い遊具は幼稚園とほぼ同じでした。

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山中 龍宏(やまなか・たつひろ)

 小児科医歴45年。1985年9月、プールの排水口に吸い込まれた中学2年女児を看取みとったことから事故予防に取り組み始めた。現在、緑園こどもクリニック(横浜市泉区)院長。NPO法人Safe Kids Japan理事長。キッズデザイン賞副審査委員長、こども家庭庁教育・保育施設等における重大事故防止策を考える有識者会議委員も務める。

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