文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

Dr.夏秋の毒虫クリニック

医療・健康・介護のコラム

クマより危険なスズメバチ・アシナガバチ…秋に巣が拡大 攻撃性マックスに

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

 虫の音に秋を感じるようになりました。猛烈な暑さも和らいで、野外活動に最適なこれからの季節、注意していただきたいのがハチです。

 ハチ類はとても種類が多く、日本には有剣ハチ類(針を持つハチ類)と呼ばれるグループだけでも800種以上が記録されています。毒針で人を刺す虫の代表格ですが、大半の種類は自ら人を襲うことはなく、実害が多いのは主にスズメバチ、アシナガバチ、ミツバチの仲間です。今回は、その中でも特に危険なスズメバチとアシナガバチについて解説します。

国内で最も恐ろしい生物

クマより危険なスズメバチ・アシナガバチ…秋に巣が拡大 攻撃性マックスに

左上から時計回りにコガタスズメバチ、オオスズメバチ、キイロスズメバチ、ニホンミツバチ、セグロアシナガバチ、クロスズメバチ

 スズメバチは国内で16種類ほどが知られています。最大の種類はオオスズメバチで、女王バチの体長は約45mmになります。世界でも最も大きいハチです。クロスズメバチは体長10~15mmの小型のスズメバチです。アシナガバチは11種類が知られ、最も身近で見られるのはセグロアシナガバチで、体長21~27mmです。

 野外レジャーや農作業、庭仕事などで、これらのスズメバチやアシナガバチに刺されることが多いのです。ハチ毒に対するアレルギー体質があると、刺されて30分以内に急激に起こるアレルギー反応(アナフィラキシー)によって命を落とすこともあります。日本では毎年、20人前後の方がハチに刺されて亡くなっており、そのほとんどがアナフィラキシーによるものです。

 マムシなどの毒ヘビやセアカゴケグモなどの毒グモにかまれて命を落とすことはまれですし、近年、被害が増え、時に人命を奪うことがあるクマでさえも、ハチほど多くの犠牲者をだすことはありません。ハチは国内で最も危険な生物だと言えるでしょう。

1 / 3

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

natsuaki-masaru_prof

夏秋 優(なつあき まさる)

 兵庫医科大学皮膚科学教授。1959年生まれ。カリフォルニア大学サンフランシスコ校皮膚科研究員、兵庫医科大学皮膚科学講師、助教授などを経て2021年より現職。日本衛生動物学会会長。主な専門分野は虫による皮膚疾患、皮膚疾患の漢方治療。主な著書に「Dr.夏秋の臨床図鑑 虫と皮膚炎」(学研メディカル秀潤社)、「止々呂美哀歌」(NRC出版)、「医ダニ学図鑑」(共著、北隆館)、「衛生動物の事典」(共編著、朝倉書店)」など。

Dr.夏秋の毒虫クリニックの一覧を見る

コメントを書く

※コメントは承認制で、リアルタイムでは掲載されません。

※個人情報は書き込まないでください。

必須(20字以内)
必須(20字以内)
必須 (800字以内)

編集方針について

投稿いただいたコメントは、編集スタッフが拝読したうえで掲載させていただきます。リアルタイムでは掲載されません。 掲載したコメントは読売新聞紙面をはじめ、読売新聞社が発行及び、許諾した印刷物、読売新聞オンライン、携帯電話サービスなどに複製・転載する場合があります。

コメントのタイトル・本文は編集スタッフの判断で修正したり、全部、または一部を非掲載とさせていただく場合もあります。

次のようなコメントは非掲載、または削除とさせていただきます。

  • ブログとの関係が認められない場合
  • 特定の個人、組織を誹謗中傷し、名誉を傷つける内容を含む場合
  • 第三者の著作権などを侵害する内容を含む場合
  • 企業や商品の宣伝、販売促進を主な目的とする場合
  • 選挙運動またはこれらに類似する内容を含む場合
  • 特定の団体を宣伝することを主な目的とする場合
  • 事実に反した情報を公開している場合
  • 公序良俗、法令に反した内容の情報を含む場合
  • 個人情報を書き込んだ場合(たとえ匿名であっても関係者が見れば内容を特定できるような、個人情報=氏名・住所・電話番号・職業・メールアドレスなど=を含みます)
  • メールアドレス、他のサイトへリンクがある場合
  • その他、編集スタッフが不適切と判断した場合

編集方針に同意する方のみ投稿ができます。

以上、あらかじめ、ご了承ください。

最新記事