ココロブルーに効く話II 小山文彦
医療・健康・介護のコラム
猛暑が終わるなり「異常な寒がり」、さらに活力の低下が続く――これって「うつ」? それとも原因はほかに?
過去最多の猛暑日を数えた夏も終わり、ようやく朝晩には涼しさを感じられるようになりました。多くの人にとって、しばらくは快適なシーズンとなりますが、早くも「寒い」と感じる体質の人もいます。暑がりや寒がりが、その人本来の体感であれば異常とはいえません。ところが、それが体のホルモンバランスの乱れが原因だったら、治療が必要な場合もあります。
今までとは違った「寒がり」に、ココロブルー(憂うつな気分)が重なったなら、その原因はストレスとは限りません。
9月に入って「電池が切れた」ように
アサミさん(39)は、飲料販売の営業職です。その年の夏も猛暑続きだったことで会社の業績は好調で、7月、8月は彼女自身も多忙を極めていました。以前に夏バテの経験はありませんでしたが、その夏は初めて感じたことのない疲労や体のだるさを覚え、9月に入ると「電池が切れた」ように生活全般で活力の低下を自覚するようになりました。単なる夏バテの後遺症にしては症状が長引いていたため、友人に相談したり、医療サイトの記事などを読んだりしているうちに、「うつ病かも?」と気になり始め、私が勤めていたメンタルクリニックにやってきました。
小山: この夏もお忙しかったのですね。
アサミさん: はい。でも、こんなに体がだるくて、気力が落ちたのは初めてです。
小山: 夜は、ぐっすり眠れますか?
アサミさん: 仕事から帰って、ご飯もお風呂も面倒で、すぐベッドに入りたいほどです。よく眠れますが、朝が来ても、いつまででも寝ていたいくらいです。
小山: 食欲はどうでしょう? おいしいものは、おいしく食べられていますか?
アサミさん: 好きなものはおいしいと感じます。ただ、食べ過ぎているつもりはないんですが、最近、数キロ体重が増えてしまいました。
小山: 体重が増えたのですね。そのほかに、今までとは違う、体の変化は感じますか?
アサミさん: 鏡を見ると、顔に生気がなく、むくんでいるように感じますし、肌がカサついてきました。ところで先生……、このお部屋(診察室)、寒くないですか?
小山: そうですか、ごめんなさい。室温を調整しましょう(空調は26~28℃の設定だった)。
アサミさん: いえ、すみません……。なんだか最近、私が寒がりになっているのだと思います。
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