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医療・健康・介護のコラム

不妊治療 保険適用される回数を超えても妊娠できない42歳女性…治療を続けるか結論出せず

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不妊治療の保険適用回数を超えた…「国から『やめろ』って言われているみたい」と感じる42歳女性の苦悩

 国内では、体外受精で生まれる子どもの数が年々増え続けており、今や少子化対策における不妊治療の影響は決して小さくない状況です。2022年には不妊治療が公的医療保険の対象となりましたが、年齢や回数に制限が設けられており、治療を早くあきらめる人が増加していると感じています。

仕事一筋だった友人の妊娠に焦り

 42歳のMさんも不妊治療の年齢による回数制限に悩んでいる一人です。35歳の時に二つ年上の夫と結婚、避妊はせずに自然に任せて、趣味や仕事で忙しく過ごしていたところ、3年を過ぎてもMさんは妊娠しませんでした。

 そんなMさんの背中を押したのは、学生時代からの親友の妊娠でした。いち早く女性管理職になって仕事一筋だった友人が授かり婚をしたのです。まさに寝耳に水の出来事でした。「Mもそろそろ子どものこと考えてもいいんじゃない? 同級生になったら楽しいね!」と言われ、急に焦りを覚えたそうです。

 「夫と初めて子どものことについてちゃんと話し、夫も気になり始めていたということを聞いて、妊活頑張ってみようという話になったんです」と振り返ります。

できるだけ自然に近い方法で

 まず近所の不妊治療を行っている病院に行ったMさん夫婦。検査では特に異常が見つからず、医師からは人工授精からのスタートを勧められましたが、「できるだけ自然に近い方法から試したい」と、排卵日に合わせて夫婦生活を持つタイミング法を続けました。

 けれども、3か月たっても妊娠しません。そこで医師のアドバイス通り、人工授精を始めることになりました。「これで妊娠できるんじゃないか、という期待は大きかったので、だめだった時には本当に落ち込み、トイレの中で涙が出るのを止められませんでした」と語るMさん。おそらく妊活をしたことのある女性なら誰しも、味わったことのある感情ではないかと思います。

見事妊娠、喜んだのもつかの間…

 人工授精を続けても妊娠できないという事実は、ボディーブローのように、心の中に少しずつダメージを与えていきました。Mさんは「このままじゃ妊娠できないかもしれない」と思って体外受精をするという選択をしました。

 1回につき60万円を軽く超える体外受精の金額は大きな痛手でしたが、体外受精をしないという選択肢はありません。忙しい仕事の合間を縫って、何度も病院に通って検査や注射をし、満を持しての初めての体外受精、その結果、Mさんは見事妊娠しました! 「うれしくてうれしくて、すぐに夫に連絡を入れました。その日は2人でお祝いをしたんです」

 しかし、喜びもつかの間、心拍確認ができず流産となってしまいました。「こんなにつらい思いをするぐらいなら、もうこれで不妊治療をやめようか」と夫婦で話し合いましたが、どうしても妊娠、出産したいという思いを諦めることができず、治療を続けることにしました。

不妊治療四つの負担

 その後も何度か体外受精を繰り返しましたが、妊娠反応を見ることができません。不妊治療の四つの負担である、経済的、時間的、精神的、身体的負担が徐々に増してきていました。

 そこに不妊治療の保険適用という朗報がありました。治療に制限はあるものの経済的な負担が減るのはありがたかったのですが、41歳だったので保険が利くのは3回までという回数制限がありました。

 Mさんはその3回を使い切りましたが、妊娠できませんでした。「全額自費で払えば治療は続けられるけれど……。回数や年齢に制限があると、国から『やめろ』と言われているみたいで」とつらそうに話していました。

 今後どうすべきか、Mさん夫婦は、まだ話し合いの結果が出ていないといいます。

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松本 亜樹子(まつもと・あきこ)
NPO法人Fineファウンダー・理事/国際コーチング連盟マスター認定コーチ

松本亜樹子(まつもと あきこ)

 長崎市生まれ。不妊経験をきっかけとしてNPO法人Fine(~現在・過去・未来の不妊体験者を支援する会~)を立ち上げ、不妊の環境向上等の自助活動を行なっている。自身は法人の事業に従事しながら、人材育成トレーナー(米国Gallup社認定ストレングス・コーチ、アンガーマネジメントコンサルタント等)、研修講師として活動している。著書に『不妊治療のやめどき』(WAVE出版)など。
Official site:http://coacham.biz/

野曽原 誉枝(のそはら・やすえ)
NPO法人Fine理事長

 福島県郡山市出身。NECに管理職として勤務しながら6年の不妊治療を経て男児を出産。2013年からNPO法人Fineに参画。14年9月に同法人理事、22年9月に理事長に就任。自らの不妊治療と仕事の両立の実体験をもとに、企業の従業員向け講演や、自治体向けの啓発活動、プレコンセプションケア推進に力を入れている。自身は、法人の事業に従事しながら、産後ドゥーラとして産後ケア活動をしている。

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