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シンガー・ソングライターの樋口了一さん パーキンソン病を患いながらも歌い続ける

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[樋口了一さん](上)パーキンソン病の公表は「ミュージシャンとして怖かった」…俳優初挑戦の映画で伝えたいこと

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 北海道テレビ放送(HTB)のバラエティー番組「水曜どうでしょう」のテーマソングなど、数々の名曲を生み出したシンガー・ソングライターの樋口了一さんは、40歳代でパーキンソン病と診断されました。病気が進行する中でも、精力的に活動を続けていて、10月7日に公開される映画「いまダンスをするのは誰だ?」では、俳優に初挑戦しました。演じるのは、パーキンソン病を患うサラリーマンの主人公。映画の公開前に話を聞きました。(聞き手・利根川昌紀、写真・中山博敬)

「やったことがない」を理由にしない

[樋口了一さん](上)パーキンソン病の公表は「ミュージシャンとして怖かった」…俳優初挑戦の映画で伝えたいこと

――どのような映画ですか。

 主人公は、パーキンソン病と診断された会社員です。彼は、鹿児島から東京に異動になり、病気であることを隠しながら新しい環境で頑張ろうとするのですが、空回りしてしまいます。会社の人間関係がおかしくなり、家庭でもうまくいかず、誰からも見放されます。そうした中、同じ病気の人のアドバイスを受けて、もう一度復活するためのエネルギーを手にするというストーリーです。

――俳優に初挑戦、しかも主演です。どのようなお気持ちで引き受けたのですか。

 最初に、 ()(にい)(しゅん) 監督から主題歌の作曲を頼まれました。それを作って安心しきって、忘れかけていたところに、監督から直筆の手紙が届きました。「(主演を)清水の舞台から飛び降りるつもりでお願いします」

 驚いて、最初は荷が重すぎると思いました。ただ、昔から「やったことがないことを『やったことがない』という理由だけでは断らない」という気持ちがあるんです。

 考えるうちに、「病気も進行していくし、いつまでもこういうことができるわけじゃない。第一、『映画の主演をやってください』なんて、絶対そんな機会はない」と思うようになりました。大失敗に終わったとしても、表現をしている人間として何かの材料になるだろうと。そう考えて引き受けました。

小銭の17円が出せない

――樋口さんもパーキンソン病の当事者です。

 2007年に、自宅の仕事部屋でパソコンを打っていると、右手が維持できなくなりました。最初は四十肩かなと思って、整体に行き、マッサージをしてもらいましたが、よくならない。

 そのうち、右脚が重くなり、前に出なくなったんです。右腕も、歩く時に意識しないと振れなくて、気がつくと「だらん」とした状態で歩いています。いろいろな医療機関を受診しても診断はつきませんでした。

 2年くらいたった時、自分の症状を克明にパソコンに入力して検索したら、女性の方が書いたパーキンソン病の日記がヒットしました。自分が書いたんじゃないかと思うくらい、進行していく感じが似ていて……。神経内科を探して、「自分がパーキンソン病かどうか調べてください」とお願いしました。検査を受けて、確定診断が出ました。

――診断がついた時は、どのようなことを考えましたか。

 原因が分からなかったものの正体が見えたということの安心感がありました。それと、この病気がどのように進行していくのか、インターネットで調べまくって、知識としては頭の中に入っていましたので、絶望感みたいなものもありました。ただ現状はそうはなっていなかったので、何となく楽観的な気持ちでした。

――その後の経過はどうですか。

 最初、「レボドパ(製剤)」という薬を処方してもらいました。パーキンソン病の方のどのブログを読んでも、劇的に効いたというものばかりでした。ところが、僕はそれを飲んでも、効果が出なかった。「違う病気かな」と思い、薬を飲むのをやめてしまいました。

 2年くらいたって、思い出したように、その薬を飲んでみたんです。そうしたら、ちょっと効いた気がして、それから飲むようになりました。脚を引きずってしまうとか、手を動かしにくいとか、そういうことはなくなりました。

 ただ、体にこわばりがあって、細かいことができない。ここを立って、外に出ることはできますが、買い物をしてレジで財布を開けて、17円の小銭を出す――。作業が細かくなればなるほど、できなくなるんです。

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