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Dr.高野の「腫瘍内科医になんでも聞いてみよう」

医療・健康・介護のコラム

がん教育で子どもたちに伝えるメッセージとは?

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がん教育で子どもたちに伝えるメッセージとは?

イラスト:さかいゆは

 小学校、中学校、高校で取り組まれている「がん教育」。

 少しずつ広まってきていますが、現場では試行錯誤が続き、課題も多くあります。

 がん教育で子どもたちに何を伝えるべきなのか?

 がん教育はどのように行うのがよいのか?

 がん教育を広めるためにはどうすればよいのか?

 そんな疑問が、学校教育の現場や、生徒や保護者、そして外部講師を務めるがん体験者や医療従事者から聞こえてきます。

 このコラムでも、「がん教育」について、2回取り上げたことがあります。

「怖い」「治らない」というイメージだけでなく…子どもたちに考えてほしい「がん」のこと

がん教育を受けて、私たちにできることは何ですか?

がん教育は重要だが…「何を伝えるべきか」

 私自身、2021年に初めてがん教育の外部講師を務めて以来、その重要性に気づき、力を入れて取り組んでいるところです。今も、月1回くらいのペースで、公立中学校や都立高校で授業をしています。

 私が医療監修を務めた、NHKドラマ「幸運なひと」では、進行がんを患う中学校教師の主人公が、生徒に授業を行う場面があり、「がん教育」も一つのテーマとして組み込まれていました。その関係で、2023年4月には、NHKのニュース番組「おはよう日本」に出演し、がん教育の重要性について語らせていただきました。

 まだ2年ほどの経験しかなく、今も試行錯誤している私ですが、この仕事にはとてもやりがいを感じています。

 感受性豊かな子どもたちに、がんについて知ってもらい、自分のこととして考えてもらうことは、子どもたち自身の将来にも役立つでしょうし、社会全体にもいい影響をもたらすのではないかと期待しています。

 一方で、子どもゆえの配慮も必要で、慎重な対応が求められることもあります。家族ががんを患っていたり、自身ががんを経験していたりする生徒もいますので、全体に一律の授業を行うだけでなく、個別のケアも必要です。

学習指導要領に明記、現場にはとまどいも

 2012年の第2期がん対策推進基本計画で「がん教育」が明記され、2016年の「がん対策基本法」改正で、がん教育に関する条文が加わり、以来、国の重要な方針として、「がん教育の推進」が掲げられています。

 これを受けて、学習指導要領でも、中学校と高校でがんについて取り扱うことが明記され、小学校から高校まで、子どもたちの発達段階に応じたがん教育を行うことが求められています。

 ただ、学校教育の現場では、

 「急にがん教育をやれと言われても何をすればよいのかわからない」

 「ふだんの授業や行事などに追われて、がん教育にじっくり取り組む余裕がない」

 「外部講師を呼ぶのはハードルが高い」

 といった、とまどいの声もあるようです。

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高野 利実 (たかの・としみ)

 がん研有明病院 院長補佐・乳腺内科部長
 1972年東京生まれ。98年、東京大学医学部卒業。腫瘍内科医を志し、同大附属病院や国立がんセンター中央病院などで経験を積んだ。2005年、東京共済病院に腫瘍内科を開設。08年、帝京大学医学部附属病院腫瘍内科開設に伴い講師として赴任。10年、虎の門病院臨床腫瘍科に部長として赴任し、3つ目の「腫瘍内科」を立ち上げた。この間、様々ながんの診療や臨床研究に取り組むとともに、多くの腫瘍内科医を育成した。20年、がん研有明病院に乳腺内科部長として赴任し、21年には院長補佐となり、新たなチャレンジを続けている。西日本がん研究機構(WJOG)乳腺委員長も務め、乳がんに関する全国規模の臨床試験や医師主導治験に取り組んでいる。著書に、「がんとともに、自分らしく生きる―希望をもって、がんと向き合う『HBM』のすすめ―」(きずな出版)や、「気持ちがラクになる がんとの向き合い方」(ビジネス社)がある。

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