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高齢ドライバー 脳トレで認知機能を維持して安全運転…支援の試み広がる

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 交通事故件数は減少傾向にある中、近年、高齢者の運転による重大事故が目立つ。高齢になっても仕事や日常生活で安全に運転を続けられるように、認知機能の維持に向けたトレーニングをしたり、急ブレーキなどの危険な運転がなかったかを振り返ったりする試みが始まっている。(阿部明霞)

バス会社が脳トレ導入

高齢者の安全運転継続へ 支援の試み

乗務終了後、タブレット端末で運転脳トレに取り組む松尾さん(福岡市で)

 7月中旬、福岡市の西日本鉄道・柏原自動車営業所で、この日の路線バスの乗務を終えた運転士の松尾伸也さん(62)が、タブレット端末で認知機能のトレーニングに臨んだ。

 ゲーム形式で、画面に現れる複数の道路標識のうち同じものを素早くタップしたり、イラストの車が停止線に合わせて止まるようにタイミング良くタップしたり――。操作は簡単で、各ゲームは1分ほどで終わった。

 脳科学に基づくアプリを開発する会社「NeU(ニュー)」(東京)の「運転脳トレ」で、スマートフォンなどで手軽に記憶力や注意力などを改善してもらう狙いだという。西日本鉄道は、認知機能の維持や向上によって安全運転につなげようと、今年6~7月に試験的に2か所の営業所で導入した。

 同営業所では、60~68歳の12人が勤務の日にトレーニングした。松尾さんの「脳年齢」は当初、実年齢よりも高かったが、トレーニングに取り組むうちに実年齢に近づいたという。30年以上の運転歴があるが、「『横から人が出てくるかも』と危険予測をより心がけるようになった」と効果を語る。

 同社では従来、運転士が毎月参加する会議で、交通事故につながる恐れがある「ヒヤリハット」事例を共有したり、非常ドアを実際に使う訓練をしたりして安全意識を高めてきた。

 運転歴20年以上の川口正虎さん(62)は以前は、定時運行が一番の目標だったが、「今は乗客がけがをしないように『揺れます』などとアナウンスをしっかりしている」と言う。

 バス業界では運転士の高齢化が進む。同社でも、約2000人のうち60歳以上が約15%を占めるという。来年4月にバスなどの運転士の長時間労働の規制が強化され、人手不足に拍車がかかる「2024年問題」が迫っており、高齢ドライバーも貴重な人材だ。

 「NeU」の長谷川清代表取締役(61)は「運転脳トレの普及によって、高齢者が長く働ける環境作りにも貢献したい」と話す。

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