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「ぷよぷよ」が反応速度や認知機能を向上、埼玉・加須市でシニアのeスポーツ体験教室
コンピューターなどを通じた対戦型ゲーム競技「eスポーツ」が、高齢者の認知症や心身の状態が弱るフレイル(要介護の一歩手前)の予防に役立つのか検証しようと、埼玉県加須市はシニア層向けのeスポーツ体験教室を実施した。検証で予防効果が認められれば、来年度から本格的にeスポーツ教室を開催したい考えだ。

真剣な表情で「ぷよぷよ」を楽しむ参加者(C)SEGA(8月30日、埼玉県加須市で)
「あ、しまった」「よっしゃー」――。計8回の体験教室の最終日となった8月30日。60~85歳の男女12人が平成国際大(同市)に集まり、同大スポーツ健康学部の水國照充教授(48)の指導を受けながら、人気の対戦型パズルゲーム「ぷよぷよ」に挑戦した。
参加者はこれまでパソコンやゲーム機などのデジタルゲームに全く触れてこなかった高齢者。最初はコントローラーの操作に苦戦したというが、次第にコツをつかみ、スコアが伸びて喜ぶ姿も見られた。
ゲームに苦手意識があるという同市の男性(84)は「体験を重ねるうちに上達し、ゲームの魅力に引き込まれた。人生の楽しみが一つ増えたね」と笑顔だった。
市は高齢者の介護予防として、エアロビクスや筋力トレーニング教室などに取り組んでいるが、「参加者が体を動かすことが好きな人に偏るなどの課題があった」(市関係者)。そこで市は、誰でも気軽に楽しく続けられるeスポーツに着目したという。
市が検証を依頼した水國教授は、eスポーツと高齢者の関わりなどを研究している。2019年に行った「ぷよぷよ」の研究では、落下してくる「ぷよ」の色に反応し、フィールド内にある同色の「ぷよ」に素早くつなげるという操作が、高齢者の反応速度や認知機能を向上させることがわかった。
水國教授は今回の体験会を通じ、参加者の体験前と後の認知機能を比較することで、eスポーツが認知症予防に役立つことをさらに証明することにしている。市いきいき健康長寿課は「eスポーツは、高齢者の社会参加を促す観点からも期待できる。多くの高齢者に参加してもらえるようにしたい」と話している。
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