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医療・健康・介護のニュース・解説

[脳卒中]回復後の生活まで支える相談窓口 どんな支援が受けられる?…全国に251か所

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 治療法の進歩で脳卒中患者の救命率が向上する中、回復後の生活まで支える仕組みが重要になっています。今春までに、全国約250か所の医療機関に患者や家族の相談窓口が設置されました。再発の不安や就労、医療・福祉制度の手続きなど様々な悩みや疑問に対応します。(影本菜穂子)

146万人が療養中

 脳卒中には脳血管が詰まる「脳 梗塞こうそく 」のほか、「脳出血」と「くも膜下出血」があります。国の2020年調査では約146万人が療養中でした。

 国や学会は長年、発症直後の「急性期」に救命や、後遺症を減らす治療を確実に提供する体制の整備に力を注いできました。現在は、集中的にリハビリを行う「回復期」や、症状が安定し、自宅などで過ごす「生活期」まで患者を支援する取り組みも進めています。

 日本脳卒中学会は22年度、24時間体制で高度治療を行う拠点病院(一次脳卒中センターコア施設)の認定を開始。認定要件の一つに「脳卒中相談窓口」の設置を挙げました。これに伴い今年3月現在で北海道から沖縄まで251か所に窓口が誕生しました。

 主に対応するのは看護師や医療ソーシャルワーカーです。1人以上は、学会の講習を受けた「脳卒中療養相談士」です。医師や理学療法士らリハビリ専門職、薬剤師や管理栄養士らも加わり、様々な相談に応じるのが特徴です。現在、利用できるのは原則、自施設の患者や家族に限られます。

「時期」で異なる不安

 患者や家族の相談内容は時間とともに変化します。

 急性期は、治療法や治療が一段落した後の転院先探しが気がかりです。回復期は、まひや高次脳機能障害など後遺症を受け入れるまでに葛藤があり、自宅で利用できる医療・福祉制度の情報も集める必要があります。生活期は、患者は再発の不安を抱え、家族は介護疲れが起きやすいです。

 同学会の調査によると、22年度は1施設当たり平均243人の相談を受けました。自治医大神経内科教授の藤本茂さんは「60歳を超えても働き続ける人が増えており、今後は復職に向けた支援の充実が課題になるだろう」と指摘します。

 独協医大病院(栃木県壬生町)の窓口には、入院中の40歳代男性から「仕事に戻れず収入が減るかも」と懸念する声が寄せられました。まひが残り、医師から「長期のリハビリが必要」と説明されたためです。

 医療ソーシャルワーカーの橋本富美子さんが、医療費の自己負担額を抑える高額療養費制度や、健康保険組合が支給する傷病手当金を説明、具体的な手続きを案内すると、男性は安心してリハビリ病院に転院しました。橋本さんは「1人で悩みを抱えず、いつでも気軽に相談してほしい」と話します。

 国も、心臓病と合わせた相談支援体制のモデル事業を始めています。今年度は15府県16病院に窓口を開設、他施設の患者や家族も利用できます。

 同学会と日本脳卒中協会は、一般向けに役立つ情報を動画にまとめ、公開しています。同学会理事長の小笠原邦昭さんは「患者や家族が安心して暮らせるよう、国と連携して相談支援の体制を充実させたい」と話しています。

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