文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

山中龍宏「子どもを守る」

医療・健康・介護のコラム

園庭で育てていたミニトマトで窒息死…食べ物による乳幼児の事故を防ぐには

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

 保育管理下でリンゴ片による窒息事故が起こり続けています。2016年3月に内閣府などが策定した「教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン」(以下、ガイドライン)で、リンゴは「(のどに)つまりやすい食材」とされ「(離乳)完了期までは加熱して提供する」と明記されているにもかかわらず、保育現場で順守されていないためです。

 こうした問題はリンゴだけに限ったことではないのです。

園庭で育てていたミニトマトで窒息死…食べ物による乳幼児の事故を防ぐには

イラスト:高橋まや

節分の豆まきが起こした悲劇

事例1: 2020年2月3日、松江市内の保育所型認定こども園で、4歳4か月の男児が節分の豆まき行事の最中、 () り大豆による気道閉塞で意識不明になり、同日、死亡した。この事故については自治体が検証部会を設置し、2021年に 報告書 が出ている。

事例2: 2006年7月25日、静岡県東伊豆町の保育園で、1歳女児が園庭で遊んでいて、急に苦しみ始めた。職員が119番し、病院に搬送したが、まもなく死亡した。女児ののどからミニトマトが見つかった。園庭ではミニトマトを栽培していた。

 ガイドラインには、「豆類(節分の鬼打ち豆)」と「プチトマト(ミニトマト)」は「給食での使用を避ける食材」となっています。保育管理下で死亡例が出ている以上、節分での豆まきも、園庭でのミニトマトの栽培も避けるべきだと思います。

幼稚園・保育園の事故防止対策の実態は?

 全国の幼稚園、保育園で、事故防止の対策は行われているのでしょうか。現場での取り組みを調べる アンケート調査 が2022年1~2月に実施されています。全国の約1万6000か所の保育施設、幼稚園、認定こども園などが回答しています。

 「節分行事として、豆まき、乾いた豆の提供を行ったか」の問いに対し、「豆まき、乾いた豆の提供のどちらも実施した」施設は5.1%、「豆まきは実施したが、豆は提供せず(豆まきは豆つぶのまま、まいた)」施設は16.9%、合わせて22%の施設で危険性がある節分行事が行われていました。

 「節分の豆まき行事で、豆をえんして子どもが死亡した事故が起きたことを知っているか」の問いには、88%が「知っている」と答えました。

 園庭等でミニトマトの栽培を行っている施設は41.6%、幼稚園だけで見ると69.1%でした。「園庭で栽培していたミニトマトを子どもが誤嚥して死亡事故が起きたことがあるのを知っているか」の問いには、78・3%が「知っている」と答えています。

 これらの調査結果から、過去の事故を教訓とした安全確認が不十分であり、ガイドラインもきちんと順守されていないことがわかります。

「幼稚園の給食が怖くて怖くて」

 ここで私たちのNPO法人「Safe Kids Japan」(SKJ)が実際に体験した出来事の話をします。SKJでは、ホームページ上に「聞かせてください」という投稿欄を設け、子どもがケガをした状況の報告や相談を受け付けています。この欄へ以下のような投稿がありました。

2023年4月12日の投稿: 「今年度よりこどもが幼稚園に入園したのですが、給食に、カットしていない状態のミニトマトやぶどう、また、カップゼリーなど危険と言われているものが出されています。一度幼稚園に申し入れをしましたが全く無視され、ついに給食が始まってしまいました。かねて子どもの事故には注意し、ミニトマトやぶどうは必ず切って出しており、ゼリーも細かくしていました。死亡事故が起きてからでは遅いし、何よりも命がかかっていることなので本当に困っています。どうかお力添えいただけないでしょうか。怖くて怖くて仕方がないです」

1 / 2

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

yamanaka-tatsuhiro_prof

山中 龍宏(やまなか・たつひろ)

 小児科医歴45年。1985年9月、プールの排水口に吸い込まれた中学2年女児を看取みとったことから事故予防に取り組み始めた。現在、緑園こどもクリニック(横浜市泉区)院長。NPO法人Safe Kids Japan理事長。キッズデザイン賞副審査委員長、こども家庭庁教育・保育施設等における重大事故防止策を考える有識者会議委員も務める。

山中龍宏「子どもを守る」の一覧を見る

コメントを書く

※コメントは承認制で、リアルタイムでは掲載されません。

※個人情報は書き込まないでください。

必須(20字以内)
必須(20字以内)
必須 (800字以内)

編集方針について

投稿いただいたコメントは、編集スタッフが拝読したうえで掲載させていただきます。リアルタイムでは掲載されません。 掲載したコメントは読売新聞紙面をはじめ、読売新聞社が発行及び、許諾した印刷物、読売新聞オンライン、携帯電話サービスなどに複製・転載する場合があります。

コメントのタイトル・本文は編集スタッフの判断で修正したり、全部、または一部を非掲載とさせていただく場合もあります。

次のようなコメントは非掲載、または削除とさせていただきます。

  • ブログとの関係が認められない場合
  • 特定の個人、組織を誹謗中傷し、名誉を傷つける内容を含む場合
  • 第三者の著作権などを侵害する内容を含む場合
  • 企業や商品の宣伝、販売促進を主な目的とする場合
  • 選挙運動またはこれらに類似する内容を含む場合
  • 特定の団体を宣伝することを主な目的とする場合
  • 事実に反した情報を公開している場合
  • 公序良俗、法令に反した内容の情報を含む場合
  • 個人情報を書き込んだ場合(たとえ匿名であっても関係者が見れば内容を特定できるような、個人情報=氏名・住所・電話番号・職業・メールアドレスなど=を含みます)
  • メールアドレス、他のサイトへリンクがある場合
  • その他、編集スタッフが不適切と判断した場合

編集方針に同意する方のみ投稿ができます。

以上、あらかじめ、ご了承ください。

最新記事