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ペットと暮らせる特養から 若山三千彦 

医療・健康・介護のコラム

特養の飼い犬「大喜」 体調崩してご飯食べられない状態に…療養先をめぐり騒動 “相棒犬”の「文福」がやきもち

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高齢、病気でも幸せそうな寝顔を見せてくれる犬の「大喜」…固い絆で結ばれた「文福」のバディ

実は年上?の大喜(左)と文福。性格は対照的。でも深く信頼し合っている

 ペットと暮らせる特別養護老人ホーム「さくらの里山科」は、今から約11年前の2012年4月に開設しました。開設と同時に動物愛護団体「ちばわん」からやってきたのが、ともに保護犬の「 文福(ぶんぷく) 」と「大喜」です。2匹は、前年の11年秋、ほぼ同じ時期に別々の保健所から「ちばわん」に引き取られ、そのボランティアさんのお宅で一緒に暮らしていました。それ以来、現在まで12年近く、ずっと一緒に過ごしてきたのです。もはや兄弟同然、いいえ、それ以上の固い絆で結ばれたバディ(相棒)と言えます。

 後に 看取(みと) り犬と呼ばれる文福と、大喜は、見た目は似ていますが、性格は対照的です。大好きな職員が出勤してくれば、全身で喜びを表現して、たっぷり甘えてくる文福に対して、いつも沈着冷静で、離れたところからクールなまなざしを向けてくる大喜。こんな2匹ですから、大の仲良し、という感じではないのですが、お互いに深く信頼していることは日々の行動から分かります。親友同士というより「バディ」という言葉がぴったりな関係だと私たちは思っています。

 文福、大喜の保健所に入る前の生い立ちについては知りません。生年月日も、もちろん分からないので、正確な年齢は不明です。2012年4月時点で、どちらも推定年齢2~3歳と言われていました。しかし、それから11年以上がたった今では、大喜の方が年上だったのかなと思っています。推定年齢通りだとすると、現在、文福が13~14歳になります。大喜は15~16歳かなと感じています。

 大喜は4年ほど前から腰が悪くなってしまい、長い距離を歩けなくなってしまいました。それまでは、文福と一緒に1時間ほど散歩に出かけていたのですが、腰を悪くしてからは、10分程度の散歩しかできなくなりました。元々、食が細いタイプの犬だったので、あまり歩けなくなると、一層ご飯を食べなくなってしまい、やせてしまいました。それでも職員たちの懸命の介護により、ご飯を何とか食べさせ、少しでも歩かせ、一定の体重と歩行能力を保つことができていました。

 大喜自身もよく頑張ってくれて、生きることを楽しんでいました。時間がかかっても自力で立ち上がり、ゆったりとリビングを歩き回ります。ドッグランに出してあげれば、ふらつきながら何十メートルも歩き、風を浴びて気持ちよさそうにします。寝ている時間が増えましたが、その寝顔は穏やかで、幸せそうでした。

 足腰が悪くなっても幸せに暮らしていた、そんな大喜の体調が悪化したのは、今年6月後半のことです。急にぐったりして、意識がほぼない状態になってしまいました。当然、何も食べられず、水も飲めません。動物病院に連れて行き、検査をしてもらったところ、肝機能の数値が急上昇していたのです。つい半月前の定期健診では異常がなかったのですが……。

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若山 三千彦(わかやま・みちひこ)

 社会福祉法人「心の会」理事長、特別養護老人ホーム「さくらの里山科」(神奈川県横須賀市)施設長

 1965年、神奈川県生まれ。横浜国立大教育学部卒。筑波大学大学院修了。世界で初めてクローンマウスを実現した実弟・若山照彦を描いたノンフィクション「リアル・クローン」(2000年、小学館)で第6回小学館ノンフィクション大賞・優秀賞を受賞。学校教員を退職後、社会福祉法人「心の会」創立。2012年に設立した「さくらの里山科」は日本で唯一、ペットの犬や猫と暮らせる特別養護老人ホームとして全国から注目されている。20年6月、著書「看取みといぬ文福ぶんぷく 人の命に寄り添う奇跡のペット物語」(宝島社、1300円税別)が出版された。

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