教えて!ヨミドック
医療・健康・介護のニュース・解説
携帯扇風機 気をつけることは?…使い方によっては熱中症のリスクを高める恐れも
Q 毎日暑いね。携帯扇風機が手放せないけど、熱中症対策になっているのかな?
ヨミドック 使い方に気をつけないと、逆効果になるという指摘もあります。
Q どういうこと?
ヨ 気温が30度を超える晴れた日の屋外や、冷房していない屋内で携帯扇風機を使うと、熱風を体に当てることになり、かえって熱中症のリスクを高める懸念があるんです。汗は本来、ゆっくりと蒸発する際の気化熱で体温を下げますが、熱風を当てると熱を奪う前に汗が乾いてしまいます。脳につながる動脈を温めることにもなり、体の深部体温を上げてしまう危険性があるとされています。
Q どうすればいい?
ヨ 霧吹きなどで、ミストを体に吹きかけながら風を当てるといいですよ。冷たすぎると血管が収縮して熱を逃がしにくくなるので、ミストには常温の水道水やぬるま湯を使うのがおすすめです。
ミストがない場合は、水でぬらしたタオルなどで首を冷やしましょう。マフラーのように巻くと熱がこもるので、首にかけるようにします。扇風機の風を心地よく感じるかが、効果的に使えているかの目安になります。

Q 気をつけなくては。
ヨ 扇風機を顔に向けて使うと、別の危険もあります。
目の表面は涙で保護されています。ところが、顔に直接風を当てると涙が吹き飛ばされ、角膜に傷が付きやすくなると指摘されています。
Q そんなことがあるの?
ヨ 目が乾く「ドライアイ」になる環境要因は温度、湿度、風の三つですが、特に風が強く影響します。通常の扇風機やエアコンよりも、顔のすぐ近くで使いがちな携帯扇風機の風には注意が必要です。
携帯扇風機で20センチの距離から顔に風を1分間当てた後、まばたきを我慢できる時間を計ったところ、実験に参加した3人の女性は1、2秒しか開けていられませんでした。目が乾いた自覚がない人もいました。気づかないうちに、涙の保護がなくなり、むき出しになった角膜が傷ついてしまうかもしれません。
Q 目のためには使わない方がいいのかな。
ヨ なるべく顔に向けず、首から下に風を当てましょう。顔に当てる時は目を閉じるといいですね。扇風機を使った日の夜は、睡眠を十分取り、目を回復させてください。(東礼奈/取材協力=三浦邦久・東京曳舟病院副院長、有田玲子・伊藤医院副院長)
ヨミドックは読売新聞の医療サイト・ヨミドクターのお医者さんキャラクターです。
【関連記事】