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常喜眞理「女のココロとカラダ講座」

医療・健康・介護のコラム

飲み薬が効くシミ…ピル服用や妊娠で悪化する肝斑 更年期以降は薄くなることも

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飲み薬が効くシミ…ピル服用や妊娠で悪化する肝斑 更年期以降は薄くなることも

 40歳代前半のZさんは、最近シミが濃くなり顔の印象が暗くなったのが気になり、来院された。シミは両頬骨のあたりにあり、顔全体で見るとチョウチョのような形に見える。日焼け止めと日傘をしっかり使い、紫外線には気をつけているが、以前より目立つようになったという。

 30~40歳代の女性に多い肝斑というシミのようだ。肝斑は女性ホルモンとの関連が強い。ピルの内服や妊娠によって悪化することがわかっている。女性ホルモンが低下する更年期以降は薄くなっていく。紫外線によるシミが加齢とともに増えていくのとは逆で、肝斑は年齢を重ねると良くなっていくのである。更年期といえば、嫌な症状のことばかりをよく耳にすると思うが、中には良い変化もあるのだ。

トラネキサム酸 50歳代以降は注意

 肝斑には、飲み薬が効果的だ。トラネキサム酸という止血作用や炎症を抑える薬が色素沈着を抑制し、肝斑を薄くしてくれる。風邪やのどの痛みなどによく処方される薬なので、飲んだことがある方も多いだろう。

 肝斑治療の場合は、内服期間は数週間から数か月だ。健康保険が使えないので1か月おおよそ6000~7000円の薬代がかかる。市販薬もあるが、有効成分の含有量が処方薬より少ない。

 現在治療中の病気や薬のアレルギーがある方は、主治医に相談してからにしよう。また50歳代以降の更年期を過ぎても内服の継続を希望される方がいるが、賛成しかねる。この薬は止血効果もあるため、肝斑を改善させる高用量での長期服用は、血管疾患リスクを高める可能性がある。

肝斑が消えたら…他のシミが目立つように?

 「薬で肝斑が薄くなったら、他のシミが気になりだした」という方もいる。その場合は美容皮膚科で光治療などを相談するのもよい。光治療は、少なくとも何回か継続しないと満足な効果が得られない。美容皮膚科で初めて治療を受ける際は、初診日は説明を聞くにとどめて、自分の予算と予定を考えたうえで、後日、治療を開始することをお勧めしたい。(常喜眞理 医師)

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常喜 眞理(じょうき・まり)

 家庭医、医学博士
 1963年生まれ。東京慈恵会医科大学卒業。消化器病学会専門医、消化器内視鏡学会専門医・指導医、内科学会認定医、日本医師会認定産業医。院長を務める常喜医院(内科、皮膚科)での診療のほか、慈恵医大新橋健診センターでは診療医長として健康診断(人間ドック)の内科診察を行い、婦人科や乳腺外科の診断を担当する。様々な大手企業の産業医でもあり、職場におけるメンタルヘルスのサポートを長年行っている。著書に『オトナ女子 あばれるカラダとのつきあい方』(すばる舎)、『お医者さんがやっている「加齢ゲーム」で若返る!』(さくら舎)。現在、BS-TBS「Together」に準レギュラー出演中。

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