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「パンケーキ症候群」梅雨時から夏場にかけて要注意!…意識障害を起こして命に関わることも

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加熱してもダメ

――パンケーキにしてもお好み焼きにしても火を通します。加熱すればダニは死ぬのではないですか。

 熱を通してダニは死んでも、一部のアレルギーを引き起こす物質(アレルゲン)は残るので、アレルギー反応は起こります。

――症状が出たらどうしたらいいですか。

 口の中がかゆくなる、全身に湿疹が出るといった程度で症状が治まることもあれば、急に息が苦しくなったり血圧が下がって意識がなくなったりすることもあります。特に、症状が急速に進行する場合は要注意です。

 湿疹が出て嘔吐もして……という具合に複数の臓器に関連する症状が出たり、呼吸が苦しくなったりした場合は救急車を呼んでください。呼吸困難や意識障害になるアナフィラキシーショックという状態になると、命に関わります。

 アレルギー症状を和らげる「エピペン」という注射薬を持っている人は、応急措置として使ってほしいと思います。

 また、救急車が来るまでの間は、脳に血液が流れやすいよう両足を高くしてあおむけに寝かせます。吐いているようならば、喉が詰まらないよう横向きの体勢を取ります。心肺が停止している場合は胸骨圧迫(心臓マッサージ)を行ったりAEDを使ったりし、蘇生措置をします。

小麦粉は使い切る

「パンケーキ症候群」梅雨時から夏場にかけて要注意!…意識障害を起こして命に関わることも

―― 一度、症状が治まっても、パンケーキやお好み焼きなどを食べたらまた発症しますか。

 ダニアレルギーがある人は、アレルゲンが再び体内に入ってくれば、同じような症状が繰り返し出る可能性は高いと言えます。

――対処法はありますか。

 経口ダニアナフィラキシーを引き起こす原因となるダニは、「気温25度、湿度75%」前後で増えやすいといわれています。小麦粉やホットケーキミックスを自宅で使用する場合、開封したら使い切ることが大切です。使い切れなかった場合は冷蔵庫で保管すると、ダニは増殖しにくくなります。

 一方、アレルゲンに体を少しずつ慣らしていく「アレルゲン免疫療法」という治療法もあります。錠剤や注射薬によって体内にアレルゲンを投与し、3~5年程度かけてアレルギー反応を起こさない体にしていきます。最近は、錠剤を使った舌下免疫療法が広く行われています。アレルゲンの抗原エキスが含まれる錠剤を1日1回、舌の下に入れ、薬剤を体に吸収させます。ただし、重症の気管支ぜんそくがある人など、この薬を使えない人もいます。

――ダニを排除するのは難しいですか。

 家の中から100%排除するのはほぼ不可能です。ただ、こまめに掃除機をかけたりダニを防ぐ布団用カバーを使ったりすることでダニとの接触を減らすことはできます。

梅雨時から夏場にかけて気をつけたい「パンケーキ症候群」とは?…意識障害を起こして命に関わることも

あつた・りょう
 順天堂大医学部卒。国立相模原病院呼吸器アレルギー科、順天堂大呼吸器内科准教授、先任准教授などを経て、現在は同大呼吸器内科非常勤講師。2018年4月から、秋葉原あつたアレルギー呼吸器内科クリニック院長。

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