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外国人が介護福祉士を目指す理由…日本人の担い手確保は難航

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 外国人技能実習制度が介護分野を対象としてから5年が経過し、実習生が介護福祉士の国家試験に合格するようになってきた。現場の中軸を担う介護福祉士の資格を取得した外国人は、何度も在留期間を更新できるようになり、希望する間は日本で働ける。担い手不足が深刻な業界全体にとっても、優秀な人材を長期間確保できるというメリットがある。(板垣茂良)

資格取得で「在留」更新無制限

外国人の介護福祉士 続々…技能実習 介護対象5年

おやつを食べる入居者の女性(右)を介助するニューさん(5月8日、愛知県碧南市で)

 「おやつの時間にしますか?」。愛知県碧南市の特別養護老人ホーム「川口結いの家」で、ベトナム人介護職のグェン・ティ・ニューさん(27)が入居者の女性(99)に声を掛けた。女性がうなずくのを確認すると、ニューさんは抹茶ミルクに、とろみをつける粉を手早く溶かした。

 母国で看護師だったニューさんは4年前の2019年6月、技能実習生として来日した。日本の介護に対する高い関心と「両親に仕送りをして、家を建ててあげたい」という目的があった。

 実習生らが介護福祉士の試験を受けるには、「介護施設で3年以上の就労・研修」という要件を満たす必要がある。受験資格を得たニューさんは今年1月の試験で合格し、その後、介護福祉士として登録した。2年前から毎日3~4時間、勉強した努力が実った。

家族帯同も可能に

外国人の介護福祉士 続々…技能実習 介護対象5年

 17年11月に外国人技能実習制度が見直され、実習生が介護を担うようになった。介護分野の外国人スタッフは同制度のほか、留学生や特定技能者、経済連携協定(EPA)の枠組みで入国する。いずれのルートでも、一定の要件を満たせば、介護福祉士の国家試験を受験できる。

 外国人が国家試験を目指すのは、介護福祉士として働く外国人に在留資格「介護」の取得が認められるからだ。この資格があると、在留期間を更新する回数が制限されなくなり、家族の帯同も許される。

 出入国在留管理庁によると、在留資格「介護」で働く外国人は22年末で6284人。この資格が創設された17年の18人から右肩上がりで増えている。ニューさんも、この在留資格に切り替える手続きを進めており、「入浴を嫌がる人への対応など、試験勉強を通じて、お年寄りの気持ちに寄り添うケアを学んだ。できるだけ長く日本で働き続けたい」と話す。

外国人の介護福祉士 続々…技能実習 介護対象5年

 ニューさんの施設にはベトナム人やネパール人ら外国人18人が在籍し、うち9人は介護福祉士だ。運営法人は昨秋、外国人の専用寮も建てた。施設長の斎藤健さん(50)は「今や外国人は職場の戦力として不可欠だ」と期待する。

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