Dr.夏秋の毒虫クリニック
医療・健康・介護のコラム
旅の土産はトコジラミ? 高級ホテルにも出現…「うそ寝作戦」で一網打尽に
やっとコロナ禍も落ち着いて、待ちかねていたように各地に旅行に行く人たちが増えていると思いますが、泊まりがけでお出かけの際はどうぞご用心を。宿泊先で、とんでもない虫が待ち構えているかもしれません。
その名は、トコジラミ。俗にナンキンムシとも呼ばれるこの虫は、幕末の頃に海外から購入した船に紛れ込んで日本にやって来たとされています。その後、どんどん分布を広げ、昭和初期には旅館やホテルなどの宿泊施設だけでなく、当直室や一般家庭でもしばしば見られるようになりました。
戦後、強力な殺虫剤が使用されるようになったことで、1970年代までに激減したため、「トコジラミなんて、日本が貧しかった時代の話では」なんて思っている方も多いのではないでしょうか。ところが、20年ほど前から再び各地でトコジラミの被害が出るようになり、次第に増えていったのです。
殺虫剤が効かない「スーパートコジラミ」
その理由のひとつは、従来の殺虫剤が効かない殺虫剤抵抗性トコジラミ(スーパートコジラミ)が現れたこと、もうひとつは交通機関の発達や国際化によって世界各地を移動する人流が増えたことです。そのため、今では世界中で被害が見られます。
宿泊施設に荷物と共に持ち込まれたトコジラミが、室内で増殖。別のお客さんの荷物に紛れ込んで次の宿泊地に移動し、さらには自宅まで、とんだ「お土産」として持ち帰ってしまう事例が増えているのです。
実はカメムシの仲間
トコジラミは「シラミ」と呼ばれますが、実はシラミではなくカメムシの仲間です。成虫の体長は約5mm、茶褐色のひらべったい形をした昆虫で、羽がないので飛ぶことはできません。生息場所は室内で、壁や柱の割れ目、寝具や家具の隙間、カーテンのよじれた部分、畳の隙間や裏側などに潜んでいます。
昼間はじっとしていますが、夜になるとはい出してきて、寝ている人の首筋や手、腕、足など、布団から露出している部分の皮膚に尖った口器を刺し入れて、吸血鬼のように血を吸います。幼虫も成虫もオス・メスの別なく皆、血を吸い、栄養源としています。満腹になったトコジラミは室内の隙間に戻りますので、朝起きた時にはどこにも虫が見当たらず、刺されたことに気づかないことが多いのです。
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