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2050年に世界の腰痛患者は8億例超に GBD2021、204の国と地域について分析・予測

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 世界疾病負担研究(GBD)2021の腰痛研究グループ(Low Back Pain Collaborators)は、204の国と地域について1990~2020年における腰痛の有症率および障害生存年数(YLD)を推定するとともに2050年までの予測と、発症の危険因子を検討した。2050年には年齢調整罹患率が減少するものの、有症者は8億例を超えるとLancet Rheumatol( 2023;5:e316-e329 )に発表した。

1990年→2020年で有症者は60%増、年齢調整罹患率は10%減

2050年に世界の腰痛患者は8億例超に GBD2021、204の国と地域について分析・予測

(C)Adobe Stock ※画像はイメージです

 今回の検討では、1980~2019年に行われたシステマチックレビューから抽出した人口ベース研究、国際研究、米国の医療請求データなどからメタ解析によって腰痛の有症率とYLDを推定した。2050年までの有症率は、社会人口統計学的指標を用いて回帰分析を行い、予測人口を乗じた。腰痛は、第12肋骨から臀部までの体の後部の疼痛で、下肢の痛みを伴うこともある1日以上続くものと定義した。

 解析の結果、2020年における世界の腰痛有症者は6億1,900万例〔95%不確実区間(UI)5億5,400万~6億9,400万例〕で、1990年から60.4%(同57.1~64.2%)増加した。一方、年齢調整罹患率(10万対)は7,460(同6,690~8,370)であり、1990年の8,330(同7,470~9,360)から10.4%(同10.9~10.0%)減少した。年齢調整YLD(10万対)も832(同578~1,070)と、1990年から10.5%(同11.1~10.0%)減少した。

 年齢調整罹患率を地域別に見ると、中央ヨーロッパで高く(12,800、95%UI 11,500~14,400)、東アジアで低かった(5,430、同4,870~6,110)。国別ではハンガリーが高く(14,000、同12,600~15,500)、モルディブが低かった(5,050、同4,460~5,730)。1990~2020年で年齢調整罹患率と年齢調整YLDの減少が大きかったのは中国で(-19.4%、同-20.7~-18.0%、-19.3%、同-20.8~17.8%)、増加が大きかったのはスウェーデンだった(19.4%、同12.1~27.2%、20.0%、同12.5~28.4%)。

 なお、有症率は全年齢で男性よりも女性が高かった。有症率とYLDは加齢とともに増加し、有症率のピークは85歳ころで、YLDは80~84歳のグループで最も増加した。

腰痛の危険因子は職業的要因、喫煙、BMI高値

 次に、2020年における腰痛によって生じる世界のYLDについて解析すると、YLDの38.8%は職業的要因、喫煙、BMI高値に起因していた。各因子の影響が特に大きいのは、職業的要因については15~49歳の男性、喫煙については50~69歳の男性、BMI高値については50~69歳の女性だった。

2020年→2050年で有症者は36%増、年齢調整罹患率は7%減

 また、研究グループが人口の推移に基づいて2050年の世界の腰痛有症者数を予測すると、男女ともに増加して8億4,300万例(95%UI 7億5,900万~9億3,300万例)となり、2020年より36.4%(同29.9~43.2%)増加する見通しだった。特異値解析では、増加の要因として人口増加、次いで高齢化が挙げられた。

 一方で、年齢調整罹患率を見ると、2030年には7.30%(95%UI 6.52~8.21%)、2040年には7.17%(同6.38~8.08%)、2050年には7.08%(同6.28~7.99%)と減少傾向だった。特に中央ヨーロッパ、東ヨーロッパ、アジア・太平洋地域の高所得国では有症者数自体も減少すると予測された。

 研究グループは「年齢調整罹患率は緩やかに減少していくものの、アフリカやアジアでは人口の増加と高齢化が進んでおり、世界全体の有症者数は増加している」と指摘。それらを踏まえた上で、依然として腰痛はYLDの増加要因であり、加齢とともに有症者数が増えることから、患者の健康寿命への影響も危惧される。研究グループは今後の変化を追跡するため、「腰痛に関する質の高い国家的な一次データが必要だ」としている。(須藤陽子)

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