Dr.イワケンの「感染症のリアル」
医療・健康・介護のコラム
新型コロナ、エムポックス、麻疹…感染症の発生動向は分かりやすく国民に示して
新型コロナウイルスが、感染症法上の分類で「5類」に移行し、「全数把握」から「定点把握」になりましたが、それでも全体的な動向は「まあまあ」把握できています。保険診療扱いになって多くの人たちは「軽い症状くらいで検査は受けたくない」になりましたし、仮に全数把握のままであっても「正確な感染者数」は分からないのです。動向がゆるく把握できれば目的には合致しているわけで、あまりマンパワーを使いすぎないのは賢明な選択です。これでよかったのではないでしょうか。
厚労省、感染研、新聞報道を見比べると…
現在、ちょっと困っているのは他の感染症の動向です。例えば、サル痘、もといエムポックス。この感染症は世界的には流行が収まり、世界保健機関(WHO)も「公衆衛生上の緊急事態」を終了しました。
厚生労働省のウェブサイトを見ても、グラフでは患者が減っているような感じに描かれています。「あれ? 日本でも流行が収まったかな」と感じさせます。しかし、日本では新規感染者が繰り返し報告され、流行が収まったとは言えません。
「エムポックスについて」(厚生労働省)より
( https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/monkeypox_00001.html )
5月27日の読売新聞の記事(新聞紙面では28日付)によると、エムポックスの発生は163人になったと報道されています。
・「サル痘」からエムポックスに名称変更…国内で163人感染確認
厚労省のデータよりも14人多く、減少傾向と思われていたエムポックスですが、実はそうでもないかもしれない、「むしろ増えている?」と考えさせられてしまいます。
厚労省のサイト内にある「報道発表資料」を見ると、5月26日付で追加の14人が紹介されており、「これで163人になったんだな」とやっと理解できるわけです。
分かりづらくないですか? というか、国民への情報提供をグラフ化して最新のものを示してくれればよいわけで、それとは別に「報道機関用」に発表するのは二度手間でしょう。そんな発表はしなくてよいから、(できれば自動的に)ホームページで最新の動向をアップデートしてくれればよいのです。
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