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ドラム演奏で認知症重症度をスクリーニング

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 東京大学先端科学技術研究センター身体情報学分野の宮﨑敦子氏らは、高齢認知症患者がドラムをたたく動作により上肢の運動機能を評価する手法を開発。ウェアラブルデバイスにより認知症の重症度にかかわらず機能評価が可能で、認知症に関連する運動障害を特定できることをFront Rehabil Sci( 2023年5月25日オンライン版 )に報告した。

3つの特徴により上肢運動機能の評価に有用な可能性

ドラム演奏で認知症重症度をスクリーニング

※画像はイメージです

 上肢の運動機能の低下は認知機能の低下や認知症と関連することが報告されているが、認知機能の低下やその中核症状である失行により、運動の計測に必要な課題を正しく行うことが難しく、機能評価が困難だった。

 リズム反応運動は重度認知症においても維持される能力の1つで、ドラムをたたくリズムの知覚により他人の模倣が可能で、自分がいま何をすべきかを理解できる。また、ドラム演奏では上腕二頭筋および上腕三頭筋を使用して継続的かつ反復的な肩の屈曲と肘の屈曲が求められることから、複雑な上肢の運動機能を測定することができる。さらに、ドラムをたたくとドラムスティック(マレット)が跳ね返るため腕を引き上げる反復動作が容易である。そこで、宮﨑氏らはこれらの長所を有するドラム演奏を用いて認知症高齢者の上肢運動機能を測定する手法を開発した。

 今回の検討の対象は特別養護老人ホームの入居者16例(平均年齢86歳、女性13例)で、平均Mini-Mental State Examination(MMSE)スコアは14.56(範囲1~23)、軽度認知症が4例、中等度認知症が8例、重度認知症が4例だった。

 対象の手首に加速度センサーとジャイロセンサーを搭載した腕時計型ウェアラブルデバイスを装着し、グループで行うドラム演奏中の腕の振りの速さと腕の挙上角度を計測した。

図.ドラム演奏中の腕の動きの計測

ドラム演奏で認知症重症度をスクリーニング

(東京大学プレスリリースより)

腕の挙上角度と握力により認知機能障害を良好に予測

 検討の結果、ドラム演奏時の腕の挙上角度が握力と相関する傾向が示され〔Spearmanの順位相関係数(ρ)=0.3528、P=0.0901〕、上肢運動機能を測定するための有効な評価方法となる可能性が示唆された。腕の振りの速度と握力との関連は認められなかった。

 次に、ドラムの演奏が認知機能に関係しているかを検討。演奏時の腕の挙上角度(ρ=0.5925、P=0.0078)、握力(ρ=0.5473、P=0.0141)がMMSEスコアと相関することが示された。腕の振りの速度とMMSEスコアとの相関は認められなかった。

 また、重回帰分析および赤池情報量規準(AIC)による検討の結果、腕の挙上角度と握力の両方を用いたモデルが認知症高齢者のMMSEスコア予測に優れていることが示された(R2=0.6035、P=0.0009)。

 以上の結果から、宮﨑氏らは〈1〉ドラム演奏に必要な動作は認知症や虚弱を有する高齢者でも可能であり、今回の手法の普及により認知症の早期発見や重症化抑制、治療効果の評価などの認知症治療・ケアに対する貢献が期待される、〈2〉同氏らが過去に報告した認知機能や上肢機能、肩の挙上角度の改善を目的としたドラム・コミュニケーション・プログラムや音楽療法中の機能評価に応用可能、〈3〉グループセッションで実施できるため、高齢者の社会的孤立感や認知症に伴う不安感の軽減も期待できる―と結論している。(編集部)

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