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大川智彦「先手を打って、病に克つ」

医療・健康・介護のコラム

お酒を飲むと胸がしみる――食道と下咽頭に同時多発がんが発見された医師、長年の飲酒・喫煙癖を後悔して

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 がんという疾患には、まだわからないことがたくさんありますが、ある程度、発症の原因が明らかなものもあります。肝炎ウイルスと肝臓がん、ヘリコバクターピロリ菌と胃がんなどはその代表ですが、喫煙・飲酒習慣と食道がんも高い確率で相関関係が認められています。

医師の直感で、「これはヤバいかも」と

お酒を飲むと胸がしみる――食道と下咽頭に同時多発がんが発見された医師、長年の飲酒・喫煙癖を後悔して

 今回は、私がよく知る医師のケースをご紹介します。かつて、東京女子医大で私と一緒に臨床・研究を行っていたK・Mさん(現在67歳)。現在も東京都下の病院の放射線科部長として患者さんに向き合っています。

 彼自身、若い頃から目立った病気の経験はなかったようですが、かなりのお酒好き、そしてヘビースモーカーでもありました。現在ではごく少数派になりましたが、以前は、「診療の合間に、ちょっと一服」を楽しむ医師は少なくありませんでした。

 そんなK・Mさんが自身の体調に異変を感じたのは15年前のこと。なんとなく、のどに違和感を覚えると同時に、お酒を飲むと胸の中でしみるような感覚がしばらく続いたと言います。当時、彼も私も東京女子医大を離れ、東京都下の同じ病院で放射線科に勤務をしていました。本人もがんの専門医ですので、「これは、ヤバいかも」と感じたことは言うまでもありません。のどの違和感を訴えれば咽頭がん、胸の奥で食べ物や飲み物がしみる感じは食道がんの可能性があることは、医師ならば誰でも知っています。とくに、長年の飲酒癖、喫煙癖があればなおさらです。K・Mさんは、まさにそのハイリスクを抱えてきたわけです。

 すぐに勤務先の消化器内科で内視鏡検査を受けたところ、懸念したとおり、食道 頸部(けいぶ) と胸部の境目付近にがんが発見されました。そればかりか、下咽頭にも別のがんが見つかったのです。離れた別の場所に発症していたため、転移性ではなく、同時性多発がんと診断されました。50代前半の若さで二重がん……、それはK・Mさん自身にもショックを与えました。真っ先に「酒とたばこを甘く見ていた」と落ち込んだ様子でしたが、後悔よりも、まずは治療が先決です。

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大川智彦(おおかわ・ともひこ)

 佐野メディカルセンター理事。1969年、名古屋市立大医学部卒。放射線腫瘍医として (がん) 研究会病院放射線科などで勤務し、英国留学後、94年、東京女子医大放射線科主任教授に就任。その後、徳洲会病院グループ放射線科部門長、東京西徳洲会病院副院長・検診センター長、佐野メディカルセンター予防医療センター長などを歴任し、2019年より現職。

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