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神戸大病院、複数の技士が無資格でX線照射…医師の指示で数年間

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 神戸大医学部付属病院(神戸市中央区、934床)で、患者の検査時に放射線照射を行う資格のない複数の臨床工学技士が、医師の指示でX線装置を操作していたことがわかった。健康被害は確認されていないが、神戸大は「不適切な行為だった」として、病院関係者に法令を順守するよう注意喚起した。

神戸大病院、複数の技士が無資格でX線照射…医師の指示で数年間

 診療放射線技師法では、放射線を人体に照射できるのは、医師と歯科医師、診療放射線技師に限定。人工呼吸器などの医療機器を扱う臨床工学技士は認められていない。

 神戸大によると、付属病院の光学医療診療部では、消化器や呼吸器などの検査の際、医師が臨床工学技士に照射装置のボタンを押すよう指示し、放射線を照射させていた。年に1、2回の頻度で、少なくとも2017年までの数年間続いていた。線量自体は医師が決めていたという。

 放射線は一度に大量に浴びると、吐き気ややけどなどの症状が出る恐れがある。

 昨年12月、関係者から大学に通報があり、臨床工学技士らへの聞き取り調査で判明した。神戸大は「複数の患者を同時に検査する場合に、医師が臨床工学技士に手伝わせたようだ。やむを得ない対応だった」と説明。診療放射線技師法に違反する可能性があるが、「(罰則の適用は3年の)時効にかかっているという認識だ。関係者の処分は考えていない」という。

 違法な照射が行われた期間について、読売新聞の取材に応じた病院関係者は「十数年にわたるはずだ」と証言したが、神戸大は「いつ始まったのかは分からない」としている。

 違法な放射線照射を巡っては、17年夏に千葉県佐倉市の病院で約10年にわたり臨床工学技士による照射が行われていたことが発覚。同年9月に公益社団法人「日本臨床工学技士会」が全国の技士に注意を促す通知を出した。神戸大は「通知が出た時期以降は、違法な照射は行っていない」とし、今後、院内に報告文書を掲示して患者からの相談に対応する。

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