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宮本礼子・顕二「高齢者の終末期医療はよくなったのか」

医療・健康・介護のコラム

尊厳死って何? 延命望まぬ人が増えているのに、医療者はその気持ちを理解しない

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 「尊厳死」という言葉は聞いたことがあるかもしれませんが、ピンとこない方も多いと思います。広辞苑によると、尊厳とは「尊く厳かで、犯しがたいこと」です。しかし、何を尊厳と言うかは人により違うので、どのような死が尊厳ある死(尊厳死)かも、人によって違うと思います。

死にゆく高齢者の尊厳は守られているか

尊厳死って何? 延命望まぬ人が増える一方、医学的知識に振り回される医療者たち

 誰にでも尊厳があり、特に弱い立場の人の尊厳は、周囲が守ってあげなくてはなりません。しかし、私たちは果たして、死にゆく高齢者の尊厳を守っているでしょうか。私はむしろ、尊厳を犯しているように思います。

 医療が発達していなかった時代の死は、単に「死」でした。しかし、医療が進歩して高齢者が延命されるようになると、自然死、尊厳死、平穏死、という言葉が生まれてきました。事実、延命医療が行われていない国では、自然死、尊厳死、平穏死という言葉は使われていません。

寿命が来ても先送りされる死

 生き物は、寿命が来ると死ぬのが当たり前です。しかし、人工栄養や人工呼吸器や人工腎臓などを使い、我が国では死が先送りされます。そのため、高齢者は何もわからない状態で生き続け、たんの吸引などで苦しみます。

 故中村仁一医師は、「医療の鉄則」を次のように言います。
  ・死にゆく自然の過程をじゃましない 
  ・死にゆく人間に無用の苦痛を与えてはならない

 延命は死にゆく自然の過程をじゃまし、死にゆく人間に無用の苦痛を与えます。延命しなければ、自然に、尊厳を持って、穏やかに亡くなることができます。

 日本学術会議は、尊厳死を「過剰な医療を避け尊厳を持って自然な死を迎えさせること」、日本尊厳死協会は「自らの意思で延命措置を断り、自然の経過のまま受け入れる死」と説明しています。

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宮本礼子・顕二「高齢者の終末期医療はよくなったのか」
宮本礼子(みやもと・れいこ)

宮本礼子(みやもと・れいこ)
江別すずらん病院・認知症疾患医療センター長。日本尊厳死協会北海道支部長。1979年、旭川医科大学卒。内科医。専門は認知症医療と高齢者終末期医療。2012年に「高齢者の終末期医療を考える会」を設立し、代表となる。著書「 欧米に寝たきり老人はいない(夫、顕二と共著)」(中央公論新社)、「 認知症を堂々と生きる(共著)」(同)。

宮本顕二(みやもと・けんじ)

宮本顕二(みやもと・けんじ)
北海道大学名誉教授、北海道中央労災病院名誉院長。
1976年、北海道大学医学部卒。内科医。専門は呼吸器内科と高齢者終末期医療。


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