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医療・健康・介護のコラム

[Mr.マリックさん](上)人気絶頂期に「ハンドパワー」が言えなくなった 顔の半分が下にずれて…治療体験明かす

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[Mr.マリックさん](上) ストレスで顔面まひ「超能力者じゃない」と言い出せず

 1980年代後半、スプーン曲げなどの「超魔術」でお茶の間をにぎわせたマジシャンのMr.マリックさんは、人気絶頂期に顔面まひになりました。原因となったストレス、壮絶だった治療について聞きました。(聞き手・山口千尋、撮影・中山博敬)

なんとかして表に出たい

――マリックさんがテレビに出たきっかけは何だったのでしょうか。

 マジック用品のお店を経営していたら、テレビ局のスタッフが番組で披露するマジックのタネを買いに来ていました。だんだん難しい仕掛けになり、「直接タレントに教えてもらえないか」と頼まれてテレビ局に出入りするようになりました。少年隊がセスナを消すためのトリックを考えたこともあります。すごい時代でしたね。「私もやらせてもらえませんか」ってプロデューサーにかけあいましたが「無名の人にお金はかけられないよ」と断られました。その時ですね、「なんとかして表に出たい」と思いました。

 当時、マジシャンが活躍する場所といえば、寄席やお祭りなどイベントのステージくらいです。「タダでいいから」とホテルのラウンジに入れてもらい、お客さんにマジックを披露していたら評判になり、それがテレビ局員の目に留まり、テレビに出られるようになりました。

――1988年に日本テレビ系の番組「11PM」に出演、同系「木曜スペシャル」など数々の特別番組で魔法のようなマジック「超魔術」を披露、「ハンドパワー」「きてます」などの流行語が生まれるなど大ブームが起こりました。ところが、数年でマリックさんの姿をテレビで見かけなくなりました。

 特番の放送が続いている時でした。友人とモツ鍋を食べていたら、口に入れたモツがポロリと器に落ちたんです。「あれ?」って、自分でも何が起きたのかわからない。鏡を見たら、ちょうど顔の半分が下にずれて、鉄仮面みたいに動きませんでした。

 翌日、病院で顔面まひと診断されました。「一日でも早く治療をしないといけないので、すぐに入院してください」と言われ、着の身着のまま、家に帰らせてもらうこともできず、そのまま入院しました。

4人がかりでおさえつけられて注射

――どのような治療を受けたのでしょうか。

 耳の裏には神経が束になっているところがあって、何かの原因でそれがバサッと切れてしまったそうです。そこへ麻酔の注射を打って治していくという治療法でした。

 横になると注射器を持った先生が上からのぞき込んでくる。どこに刺すんだろうと思ったら、耳の下のあたりをブスリと刺したんです。すると首のところからぐわーっと顔のほうに麻酔薬が入ってくるのがわかる。これがのけぞるくらい痛い。痛くて体が動いてしまうから、4人がかりで押さえつけられました。

 入院中はこの注射を1日2本、午前と午後に打ちました。処置室の前には自分と同じように顔面まひになった方がみんなずらっと並んで注射の順番を待っている。私はテレビに出て顔も知られているので、つい立てで隠してもらいながら列の一番後ろに並んでいました。待っていると注射を打たれた人の悲鳴が聞こえてくるんです。段々と自分の順番が近づいてくるのが恐怖でした。

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