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産業医・夏目誠の「ストレスとの付き合い方」

医療・健康・介護のコラム

定年後、行くところがなく妻に依存…「お昼ご飯は外で食べてね」と言われ

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夫は「妻依存」、妻は「主人在宅ストレス症候群」

産業医 : 朝から晩まで、ズッと一緒にいられたら、奥さんがつらいですよね。

狩野さん: だけど妻がいないと寂しいですよ。会社員の時には部下も取引先の人もいたけどね。

産業医 : 妻依存ですね。

狩野さん: 依存、そうだろうな。甘えているかもしれない。

産業医 : 奥さんは、お母さんですか?

狩野さん: 母には甘えられなかった。いい子をしていたからね。(笑顔になり)妻なら甘えられるんだ。

産業医 : あなたは、妻依存症ですよ。

 狩野さんのような状態は俗に「ぬれ落ち葉」と言われ、妻の状態を心療内科医の黒川順夫氏は「主人在宅ストレス症候群」と呼びました。妻にまとわり続ける状態です。私は「妻依存症」のようなものだと考えています。人に依存したり、お酒などに依存したり。問題はそれが適度かどうかです。過度になれば、依存症でしょう。

妻は、自分の時間がほしい

産業医 : 奥さんの明るさ、笑顔が減っていませんか?

狩野さん: 笑顔が減っている感じがしますね。無愛想になってきたというか。

産業医 : 奥さんは、自分の時間が欲しいんですよ。あなたが理不尽にも、まとわりつくから。笑顔になれないんですよ。

狩野さん: そうかもしれないなぁ。僕がストレスになっていると思ってはいますけどね。

産業医 : それに気づいたなら、もう一度、図書館にチャレンジするか、スポーツクラブで汗を流しましょう。運動もいいですよ。

狩野さん:図書館はもういい。高齢者が多くて、自分を見ているみたいで、よけいにしんどい。運動をしてみるか?

産業医 : スポーツクラブならトレーナーがいて、ふさわしいプランを作成してくれますよ。

狩野さん: スポーツクラブか。

スポーツクラブに通い始めた

 狩野さんは、それからしばらくして相談室に顔を見せてくれました。

産業医 : スポーツクラブに通っていますか?

狩野さん: 行ってみたら、(うれしそうな表情で)若い女性のトレーナーが、運動プランを作ってくれました。彼女の笑顔がいいんですよ。続けていますよ。

産業医 : それは良かったですね。

狩野さん: 週に3回、外出して、食事もしてくるので、妻にも笑顔が少し戻った気がします。続けないとね。

 行動に移すことができたケースです。相談に訪れて、わかってはいても動かない人も少なくありません。定年退職で時間ができたら、まず、行動です。(夏目誠 精神科医)

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natsume02-prof

夏目誠(なつめ・まこと)

 精神科医、産業医、大阪樟蔭女子大学名誉教授。40年以上13企業の精神科医として従業員の診療や相談、啓発普及(講演1500回)、復職支援に関与しメンタルヘルスの向上に取り組んでいる。人事院・心の健康づくり指導委員会委員、日本産業ストレス学会元理事長。
 著書に Amazon.co.jp:「35歳からのメンタルヘルスー事例でわかる働く人と家族のストレス対策」、「中高年に効く! メンタル防衛術」、「職場不適応サイン」など多数。
夏目誠の公式ホームページ (natsumemakoto.com) 精神科医マコマコちゃんねる - YouTube

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1件 のコメント

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びっくりした

名取

こんな状況になっても家事を手伝おうという発想がなくて、本当に驚きました。

こんな状況になっても家事を手伝おうという発想がなくて、本当に驚きました。

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