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不透明な海外臓器移植、初の刑事裁判に…NPO「難病患者支援の会」と理事長起訴

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 NPO法人「難病患者支援の会」(東京)による臓器あっせん事件で、東京地検は20日、NPO理事長の菊池 仁達ひろみち 容疑者(62)(横浜市)と、法人としてのNPOを臓器移植法違反(無許可あっせん)で東京地裁に起訴した。国内外で批判を受けてきた不透明な海外移植が、初めて刑事裁判で審理されることになった。

不透明な海外臓器移植、初の刑事裁判に…NPO「難病患者支援の会」と理事長起訴

菊池仁達容疑者

 起訴状によると、菊池容疑者は2021年1月~昨年7月、厚生労働相から臓器あっせん業の許可を得ずに、肝硬変を患う40歳代男性と、腎不全の50歳代男性にそれぞれベラルーシでの移植を提案。移植費用などとして、3300万円と1850万円をNPOの口座に振り込ませて、同国の病院で移植手術を受けさせたとしている。

 患者2人のうち昨年2月に肝臓移植を受けた男性は術後に体調を悪化させ、帰国後に家族から改めて生体肝移植を受けたが、同11月に亡くなっていた。

 地検は、海外で金銭を支払って臓器移植を受ける行為が国内外で厳しく批判されているのに、NPOがこれを無視する形であっせんを続けていたことや、一部の患者が死亡したり重篤になったりしていたことなどを重視し、起訴に踏み切ったとみられる。

 地検は認否を明らかにしていないが、菊池容疑者は逮捕後の警視庁の調べに「あっせんはしていない」と否認していた。地検は今後、NPOの活動があっせん行為に該当するとして公判で立証を進める。

 NPOを巡っては、読売新聞が昨年8月、中央アジア・キルギスで行われた生体腎移植で、売買された臓器が使われた疑惑を報道した。警視庁は先月7日に菊池容疑者を同法違反容疑で逮捕し、裏付けを進めた。事件では厚生労働省の調査権限が無許可のあっせん団体に及ばないなどの法の不備も明らかになった。

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