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医療・健康・介護のコラム

不妊治療の保険適用から1年 患者に与えた影響は?

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不妊治療の保険適用から1年 患者に与えた影響は?

 2022年4月に不妊治療の保険適用範囲が拡大されてから約1年が過ぎました。 年齢制限や回数制限 、また標準治療に限るなどの制限があるものの、人工授精や体外受精にも保険が適用されることになったのは、患者にとって大いなる福音だったと言えるでしょう。

「不妊治療の保険適用」についてのアンケートを実施

 この制度改革が不妊治療や不妊患者に与えた影響が数値に表れるのは、少し先のことになると思いますが、先んじて昨年にNPO法人Fineは「保険適用後の不妊治療に関するアンケート2022」をインターネット上で実施し、不妊治療中の患者の声を広く集めました。今回は、このアンケート結果とともに、保険適用に対する患者の生の声をお伝えしたいと思います。

 回答数は1988人で、その属性は、性別は97%が女性で3%が男性と、ほとんど女性でした。年齢層で最も多かったのは30歳~34歳で32%、次いで多かったのが35歳~39歳で30%と、6割以上が30歳代でした。その次に多かったのは40歳~44歳で23%、4番目が25歳~29歳で9%でした。居住地は全国47都道府県すべてにまたがっており、回答数が多かったのは東京都で、次いで関東全般、関西、中部でした。

4人に1人は保険使わず、10割負担のまま

 「何割が自己負担治療を受けている?」と、支払っている治療費における自己負担と保険診療の割合を尋ねた問いには、「3割負担(保険診療)」と答えた人が47%で約半数はいたものの、「3割負担+10割負担(保険診療+先進医療)」と答えた人は28%、「10割負担(自由診療)」と答えた人が25%でした。

 つまり、4人に1人は保険が適用されず10割負担のままであるという結果です。せっかく保険適用範囲が拡大されたというのに、なぜ保険が利かないのでしょうか? 

受けたい治療が保険適用外、年齢制限も

 この「10割負担」と答えた人に、その理由を尋ねたところ、「治療内容が保険適用外のため」が57%と6割近くを占めました。つまり、自分が受けたい治療は残念ながら保険が利かない治療であるということです。

 不妊治療は、人それぞれの体質や状態によって、きめ細かな調整が必要な治療です。使う薬や医療技術なども、実に様々なものがあります。患者は一日も早く妊娠・出産したいと願っているため、1%でも妊娠の可能性が高いものを選びたいと思うのです。

 10割負担と答えた人のコメントでは「保険適用の薬剤の種類、容量では排卵を促すことができず、採卵すらできなかったため」「保険適用の治療では昨年度まで受けていた治療の内容と異なってしまうため。医師にこれまでの治療と保険適用の治療についての差を伺い、妊娠率を上げるためには自由診療が良いと判断。夫と相談したうえで10割負担を選択している」などがありました。

 10割負担の理由で次いで多かったものが「年齢制限のため」が21%、「回数制限のため」が3%でした。

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松本 亜樹子(まつもと・あきこ)
NPO法人Fineファウンダー・理事/国際コーチング連盟マスター認定コーチ

松本亜樹子(まつもと あきこ)

 長崎市生まれ。不妊経験をきっかけとしてNPO法人Fine(~現在・過去・未来の不妊体験者を支援する会~)を立ち上げ、不妊の環境向上等の自助活動を行なっている。自身は法人の事業に従事しながら、人材育成トレーナー(米国Gallup社認定ストレングス・コーチ、アンガーマネジメントコンサルタント等)、研修講師として活動している。著書に『不妊治療のやめどき』(WAVE出版)など。
Official site:http://coacham.biz/

野曽原 誉枝(のそはら・やすえ)
NPO法人Fine理事長

 福島県郡山市出身。NECに管理職として勤務しながら6年の不妊治療を経て男児を出産。2013年からNPO法人Fineに参画。14年9月に同法人理事、22年9月に理事長に就任。自らの不妊治療と仕事の両立の実体験をもとに、企業の従業員向け講演や、自治体向けの啓発活動、プレコンセプションケア推進に力を入れている。自身は、法人の事業に従事しながら、産後ドゥーラとして産後ケア活動をしている。

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