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Dr.高野の「腫瘍内科医になんでも聞いてみよう」

医療・健康・介護のコラム

なぜ、AYA世代のがん患者には支援が必要なんですか?

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なぜ、AYA世代のがん患者には支援が必要なんですか?

イラスト:さかいゆは

AYA week始まる

 今年も、AYA(アヤ) weekの時期がやってきました。

 AYA世代というのは、Adolescent(思春期・青年期)の「A世代」(15~24歳くらい)と、Young Adult(若年成人)の「YA世代」(25~39歳くらい)をあわせた世代で、おおむね15~39歳を指します。AYA世代でがんと診断される患者さんは、年間約2万人。すべてのがん患者のうちの約2%です。

 AYA weekは、このAYA世代のがんについて考え、行動するための全国的な取り組みです。

 今年は3月4~12日が、「AYA week 2023」の期間で、全国で様々なイベントや活動が行われています。私は、昨年のAYA weekに初めて参加し、昨年夏からは、AYA week 2023実行委員に加わりました。実行委員会には、患者、一般市民、医療者など、様々な立場の方々が名を連ね、活動しています。「メディアチーム」「大交流会チーム」「教育チーム」など、いくつかのチームに分かれて、定期的にオンライン会議を行い、準備してきました。

 実行委員の多くは、長い間この問題に意欲的に取り組んでこられた方々で、新人実行委員の私も、おおいに刺激を受け、貴重な経験ができました。

知ってほしい、若い世代のがん

 AYA week 2023のテーマは、「知ろう、一緒に。」です。AYA世代のがんをめぐる問題を多くの方に知ってもらい、関心を持つ人たちがつながり、大きな動きにつなげていくことを目指しています。

 実行委員会で大きなイベントを企画するというよりも、全国各地の様々な取り組みを紹介することに力を入れています。

 AYA week 2023のサイト では、多くの団体の活動が紹介されていますので、ご覧ください。興味のあるイベントがあれば、ぜひ参加してみてください。シンポジウム、講演会、患者交流会、チャリティーコンサート、映画上映、新技術を用いた医療体験など、いろいろあります。

 「メディアチーム」は、こういった活動を、SNSを通じて社会に発信し、世の中の関心を高めることを目指しています。YouTubeチャンネルやTwitterスペースからの配信も定期的に行っています。マスメディアで取り上げられることも増えていて、少しずつ、AYA世代のがんについての認識も高まっているように思います。

 私が所属した「教育チーム」では、若い世代の皆さんに、がんを自分事として考えてもらえるような取り組みを検討しました。AYA世代のがん患者さんから、「言われてうれしかった言葉」と「言われてつらかった言葉」を集めて資料を作り、それを用いたオンラインワークショップを行いました。その詳細は、本コラム「友人からがんになったと打ち明けられたとき、どのような言葉をかければよいでしょうか?」でも紹介しました。

 AYA weekの取り組みは、この期間だけにとどまるものではなく、活動は今後も続いていきます。たとえば、「教育チーム」では、AYA week 2023のあとに、次のワークショップ開催を準備していて、「AYA week 2024」にも活動を引き継いでいく予定です。

 こうやって、AYA世代のがんに関する啓発活動が盛り上がっているわけですが、そもそも、どうして、「AYA世代」が重要なのでしょうか。

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高野 利実 (たかの・としみ)

 がん研有明病院 院長補佐・乳腺内科部長
 1972年東京生まれ。98年、東京大学医学部卒業。腫瘍内科医を志し、同大附属病院や国立がんセンター中央病院などで経験を積んだ。2005年、東京共済病院に腫瘍内科を開設。08年、帝京大学医学部附属病院腫瘍内科開設に伴い講師として赴任。10年、虎の門病院臨床腫瘍科に部長として赴任し、3つ目の「腫瘍内科」を立ち上げた。この間、様々ながんの診療や臨床研究に取り組むとともに、多くの腫瘍内科医を育成した。20年、がん研有明病院に乳腺内科部長として赴任し、21年には院長補佐となり、新たなチャレンジを続けている。西日本がん研究機構(WJOG)乳腺委員長も務め、乳がんに関する全国規模の臨床試験や医師主導治験に取り組んでいる。著書に、「がんとともに、自分らしく生きる―希望をもって、がんと向き合う『HBM』のすすめ―」(きずな出版)や、「気持ちがラクになる がんとの向き合い方」(ビジネス社)がある。

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