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摂食障害<6>遺伝や性格 複合要因で

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◇Q&A

 摂食障害の治療や背景について、日本摂食障害協会理事長で総合内科専門医の鈴木真理さんに聞いた。

日本摂食障害協会理事長 鈴木真理さん

 ――どんな病気か。

摂食障害<6>遺伝や性格 複合要因で

1979年、長崎大医学部卒。東京女子医科大や、政策研究大学院大教授などを経て、2019年から現職。20年、跡見学園女子大心理学部特任教授。摂食障害の治療と研究に従事し、家族会を主催している。

 「やせることにこだわって拒食する『神経性やせ症』、過食したら 嘔吐おうと や下剤で排出する『神経性過食症』が代表的です。最近、過食しても排出しない『過食性障害』も加わりました」

 「やせ症と過食症の患者は女性が9割を占めます。強迫症や醜形恐怖症など他の精神疾患がある人もいます。やせ症は栄養失調になり、進行すると命に関わります。入院治療を受けた患者の6年後の死亡率は約6%というデータもあり、死亡率は精神疾患の中で最も高くなっています」

 ――治療法は。

 「やせ症はまず体重増加が最優先です。重度の場合、行動制限を用いた入院治療を行うことがあります。家族ぐるみで取り組む家族療法『FBT』もありますが、必ず専門家の助言を受けて進めてください。過食症への効果が高いのは認知行動療法(CBT―E)です。やせ症も、ある程度体重が回復すると行えます」

 ――発症の原因は。

 「遺伝的な背景が指摘されています。やせ症では、発症しやすい8種類の遺伝子が見つかっています。これらは、強迫症やうつ病などの発症に関連しますが、肥満になりにくいこともわかっています。さらに『完璧主義』や『心配性』といった性格、人間関係のトラブルや挫折経験、やせ礼賛の風潮など、様々な要因が重なって発症します」

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