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ココロブルーに効く話 小山文彦

医療・健康・介護のコラム

【Track34】酒席で言った「私たちの若い頃は…」に後日、「それはアルハラ」との差出人不明のメッセージが

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 人には、いくつかの役割や立場があります。個人の率直な思いは「ホンネ」ですが、社会では「タテマエ」でふるまうべき場面があります。近年では、SNSなどでついホンネを語った言葉が社会問題となることも少なくありません。言葉は、他人を傷つける力を持つだけでなく、時には自身をも追い込む「剣」にもなります。「問題発言」となった言葉は瞬時に広まりやすく、その発言者は「やらかした人」として多くの人の目にさらされることになります。

にぎやかだった酒席が一転して

【Track34】酒席で言った「私たちの若い頃は…」に後日、「それはアルハラ」との差出人不明のメッセージ――40代管理職の後悔と心身症――

 イサオさん(47)は、食品製造業社の営業職です。前任地の関西支社で営業成績を伸ばした手腕を買われ、昨年の春から東京本社に課長として着任しました。長年連れ添ってきた妻と関東の新居に引っ越し、都内の大学に通う長男とも近くなりました。若い頃に本社に在籍したこともあるイサオさんは、 凱旋(がいせん) した気分で意気揚々と勤め始めた新年度でした。

 会社でのイサオさんは率直な物言いが多く、会議では大胆なアイデアを打ち出すなど、豪放 磊落(らいらく) な性格です。一方、取引先との応対や社内での日常会話では、自身の感情や心の内は抑えて、立場をわきまえた発言をするように気をつけてきたようです。

 ところが、ゴールデンウィーク前のある酒席でのことでした。連休前の解放感も手伝い、イサオさんは、いささか飲みすぎてしまったようでした。盛り上がる宴の片隅で、若い部下たちが、最近欠勤がちな同僚のことを心配そうに話していたのですが、そこへイサオさんが割って入りました。そして、

 「私らが若い頃は、24時間戦えますか?!って頑張ったんだ! 今の若いやつは弱すぎる!」と、オヤジモード全開になってしまったようです。

 イサオさんと年代の近い課員たちは同調するように笑っていましたが、若い社員たちは一気にシラケてしまったようです。にぎやかだった酒席は、後味の悪い雰囲気のまま、お開きとなりました。

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小山 文彦(こやま・ふみひこ)

 東邦大学医療センター産業精神保健職場復帰支援センター長・教授。広島県出身。1991年、徳島大医学部卒。岡山大病院、独立行政法人労働者健康安全機構などを経て、2016年から現職。著書に「ココロブルーと脳ブルー 知っておきたい科学としてのメンタルヘルス」「精神科医の話の聴き方10のセオリー」などがある。19年にはシンガーソング・ライターとしてアルバム「Young At Heart!」を発表した。

 2021年5月には、新型コロナの時代に伝えたいメッセージを込めた 「リンゴの赤」 をリリースした。

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